ポアロに助けを求める一通の手紙。急いで現地に向かうポアロとヘイスティングズだが、手紙の送り主はすでにゴルフ場で殺されていた。
ポアロシリーズ第二作。ポアロの推理手法、ワトソン役ヘイスティングズのキャラクター紹介のような作品である。ワトソン役のわりには登場作品が多くないヘイスティングズだが、この作品では大活躍だ。
犯罪すれすれで美女のために走り回る彼のキャラクターを好きになれるかどうかで評価はわかれそうだが、私は困った人(美女)をほっておけないお人好しのヘイスティングズが嫌いではないので、十分楽しめた。クリスティもヘイスティングズを書くのは楽しかったのではないだろうか。
犯人につながる大きな謎が思ったより早く種明かしされるため、途中で犯人が推測できてしまうという欠点はあるが、トリック解明を重視していない読者であれば、ヘイスティングズの立場で事件の真相に考えを巡らし、ある程度推測できた時点で「さあ、ポアロがどのように犯人を追い詰めるのか」と予定調和を楽しむことができる。クリスティのしっかりとしたキャラクター造形のなせる技である。
ただ、このタイトルはいかがなものか。ゴルフ場が事件に関係ないわけではないが、タイトルにするほどの重要性があるようにも思えない。タイトルで損している作品だと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
アガサ・クリスティー
- 感想投稿日 : 2020年9月7日
- 読了日 : 2020年8月27日
- 本棚登録日 : 2020年9月7日
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