白い巨塔〈第5巻〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2002年11月20日発売)
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感想 : 208

因果応報と言えばそれはそうなんだけど、全体を読み終わった時、新教授も運命という大きな力に翻弄された人だったのかもしれないなぁ。とざまーみろというスカッとした気持ちだけではいられない後味を感じた。

あとがきを見て驚いたのだけどもともとは3巻で完結するところを付け足して4巻、5巻を書いたのだとか...。よくもうまく綺麗につなげたよなぁと感心した。あたかも元々5巻で完結するつもりかのような進め方だったので、あとがきの威力は大きかった。

5巻の終盤、生命というものに厳粛に向き合う描写、絶対的で厳かで止まったかのような時間、張り詰めてかつ静謐に流れる空気...このシーンがめちゃめちゃ良かった。その情景にのまれて僕も涙が意図せずぽろぽろと出た。

舞台が昭和なので現代の医療の常識やレベルは当時のものと比べて更に違った物、進歩した物になってるんだろうなーという印象は受けるものの、それらを差し引いてもずっしりと楽しめる内容でした。山崎さんの別の作品も絶対読みたいな。と思える文章でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年1月22日
読了日 : 2022年1月22日
本棚登録日 : 2022年1月22日

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