いのちの停車場 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2021年4月8日発売)
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感想 : 36
5

出だしは、ものすごい医療用語の羅列で
緊迫した現場の雰囲気もよく感じるが難しい、
と思っていたところ、
金沢に赴いてからは、
土地鑑とあるからか?情緒豊かに描かれていて、
私も金沢に何度か行ったことあるし、
イメージしながら楽しく読めた。

在宅医療の難しさ、よく分かった。
後遺症としての疼痛についても全然知らず、こんな苦しみがあるなんて全く気の毒で、
尊厳死を受け入れてあげてほしいと思う一方、
父を失いたくないという思い、
医者としての倫理観との葛藤、
それをクリアするのがあの結末、
というのも見事だった。

私も、家族に面倒をかける前に死にたい、
と思っている。
でも、その時になったら死にたくないと
思うんかなぁ、とか。
意識がきちんとあれば、
尊厳死を依頼するかなぁとか。
その頃には制度も変わってるかもしれんけど。

現代医療の飛躍的進歩と、
神の領域に立ち入りすぎたんじゃないかというような思いと。
作中セリフにあったように、
生きるということは、食べること、
自力で食べられなくなったら命は終わり、
といった内容のやつ。
同感もしつつ、
でも、医療で繋ぎ止めている命によって、
勇気や生き甲斐を得ている人もいて。

難しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月2日
読了日 : 2022年2月1日
本棚登録日 : 2022年2月1日

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