今年の1月にMOMAで開催されたピカソの展示会に参加し、すごく感銘を受けたので、本作が気になって手に取りました。ただひたすらに作者の平和に対する強いメッセージが伝わってくる圧巻の作品だったと思います。
本作は2つの時代の物語が書かれており、1つは「ゲルニカ」誕生とアメリカに展示されるまでの物語。もう1つは、こちらがメインのお話になるのですが2000年代の物語で、ワールドトレードセンターでのテロ事件を発端とした物語となっております。テロ事件後、アメリカがイラクへの侵攻を表明します。その放送の際、なんと本来映るべきはずの反戦の象徴である「ゲルニカ」に暗幕がかけられていました。それに憤りを覚えた主人公がピカソのメッセージを伝えるため、奔走するというお話。
本作の魅力としては、物語の発端となる事件のリアリティだと思います。当時の私はまだ幼く何が起こっていたか定かではなかったのですが、あとがきを読むと、実際に「ゲルニカ」に暗幕がかけられていたそうで、これを見てショックを受けた作者が本作を執筆することにしたとのことです。そういう背景を踏まえると、こうしたリアリティのある展開はすごく反戦に対するメッセージに重みを持たせてくれているように感じました。
私はそもそも芸術に疎かったこともあって、幼少期以来、「ゲルニカ」を見たことがなかったのですが、本作を読みながら「ゲルニカ」の写真を何度も見ました。すると幼少期には感じられなかった禍々しさやおどろおどろしい様子、阿鼻叫喚の情景が感じられ、改めて戦争の悲惨さを感じることが出来たと思います。
本作の読了後に思ったのは、やはり「ウクライナ戦争」のことで、一刻も早く戦争が終結してくれることを願うばかりです。
- 感想投稿日 : 2024年4月7日
- 読了日 : 2024年4月7日
- 本棚登録日 : 2024年4月7日
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