人間の卑しい部分とかダークな部分が凝縮されているような小説でしたが、特に第2部は、まるで綱渡りをしているようなハラハラ感があって、たまりませんでした。
主人公は翔太と海斗の2人の青年で、翔太は孤児院育ち、海斗は裕福な家庭で育った境遇を持つ。そんな2人が風俗斡旋をするクラブ「カタラ」で手を組み、次々と女性を毒牙にかけ、クラブでもトップクラスになる成績を収める。そして、2人はどんどんと深い闇へと潜り込んでいくというお話。
こういうダブル主人公で重要な対比がとても素晴らしかったです。詳細を書くとネタバレになってしまうので、どっちがどのようになったかは書きませんが、「悪」にも色々種類があるんだなぁと。暴力や弱者からの搾取といった目に見えた悪意に対し、無自覚な悪というものの恐ろしさが描かれており、真綿で締められるようなジワジワとした恐怖や胸糞悪さがあり、それが本作の魅力なのかなと。
内容はとてもセンシティブですし、胸糞悪い描写もあって心が痛む方もいらっしゃると思いますが、色んな方に読んでほしい作品です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年10月21日
- 読了日 : 2023年10月21日
- 本棚登録日 : 2023年10月21日
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