夜の庭師 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2016年11月11日発売)
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感想 : 30
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ホラーテイストのファンタジーで、思春期の子どもが主人公で、その子どもの成長物語でもある、っていうのが欧米の児童文学で流行っているのか?
先日読んだ『ゴーストハウス』もそうだったし。共通してるのはいかにも映像化されそうな舞台設定と展開、不安定な家族、主人公(の一人)が体が不自由で恵まれない境遇にある、悪者のゴーストが不死身(まあ、ゴーストだから当たり前と言えば当たり前だけど)、など。
で、どちらも読んで大して面白くもなく、映像を見れば十分という点も共通している。
なんか、いかにも作られた感じの話なんだな。こうすると劇的でしょ、怖いでしょ、みたいな。
こういう物語はウェストールの『かかし』あたりが最初ではないかと思うけど、ウェストールがいかに才能があったかが、こういう物語を読むとよくわかる。他ではダウドとネスの『怪物はささやく』も良かった。そういう単にホラーファンタジーに終わらない深さのある物語とどこが違うかというと、やっぱり人物造形と心理描写ではないかと思う。
この主人公の姉弟は親と別れて貧困にあえいでいるわけだし、姉は機転の利く利発な娘なのだが、ウェストールやネスの主人公たちのように、読者が身を切られるような切なさ辛さを感じることはない。たとえばこの姉がもう少しシニカルであったり、弟が内省的であったりすれば物語に深みが増したのではないかという気もするが、そもそものホラー描写がありきたりだからなあ。
ディズニーが映画化するらしいけど、巨木と一体化した屋敷や庭師の様子なんかは、ディズニーの技術力で、多分本より雰囲気も迫力も出るんじゃないかと。
これから読もうか迷っている人には、読まずに映画で大丈夫と伝えたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年11月12日
読了日 : 2017年11月12日
本棚登録日 : 2017年11月12日

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