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1.あらすじ
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小6の少年3人が祖母の葬式に参加した山下をきっかけにして、死んだらどうなるのかを知りたい好奇心から、近所のおじいさん宅を張り込むことになります。
最初の目的とは違って、次第におじいさんとの距離が縮まり、心に持った悩みや辛さを、おじいさんによって解消していきます。
主人公の木山の視点、思考で物語は展開していきます。
私が手にしたのは、文庫で218ページ。
文字がちょっと小さいです。最近、老眼が入ってきたので、読むタイミングによっては、ちょっと辛い感じでした。
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2.感想
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いや〜これは悲しすぎます。
ラストがわかってしまうから、読みながらつらなくなっていきます。
少年たちの純粋さも加わって、永遠の別れをした人たちのことを思い出して、また泣けました。
それから、とてもきれいな表現が多くて、本を読んでいて、心が落ち着く瞬間を感じました。
「天から水がまかれる音を耳をすまして聞いていた」
「死んでもいい、と思えるほどの何かを、いつかぼくへ出来るのだろうか。」
のように、言葉から余韻を感じることができました。
終盤では、子どもたちが、「おじいさんだったら、どう考えるか?」と、意識するようになるんですが、すごいことですよね。小6でそんなふうに考えられるなんて、ほんとすごい。自分でないもう一人の自分を意識して物事を見ることができるようになるのか…この歳でも考えさせられます。気がつかないうちに、自分の考えに対しての自負とか、今までの経験に対する自信が、思考にへばりついているのかもしれないです。
私も子どもの頃は、死の恐怖に覆われて、ブルブルッと震えてしまうことがよくありました。なにか、自分がどこに行ってしまうのか、その後も世界が回る感じが怖いんですよね。男は死んだ後の世界をイメージする人多いと思うんですよね、なので、少年たちの思いにとても共感しました。
ちなみに、これを妻に話してみると、死んだ後の世界って、「子どもたちが生活していけるか?」とか、「仕事は大丈夫かとか?」そういうこと?ってなり、イメージが伝わらないんですよね(笑)
この本を読んで、また、シェリーケーガンの「死とは何か」を読みたくなりました。
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3.主な登場人物
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木山
河辺 何も考えていないやつ、メガネが大事
山下 おデブ
おじいさん
田島 女の子
酒井 女の子
杉田 同じサッカークラブ
松下 同じサッカークラブ
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4.備忘録
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・遺体に脱脂綿を詰めるのは、遺体から分泌物が出ないようにするために、行う。従って、耳や鼻のほか口(咽喉の奥)や肛門にも詰める。
- 感想投稿日 : 2022年9月17日
- 読了日 : 2022年9月14日
- 本棚登録日 : 2022年9月3日
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