悲しみの歌 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1981年6月29日発売)
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本棚登録 : 1177
感想 : 119
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どうしようもなく暗いテーマで、憂鬱のきわみになった。

『海と毒薬』の後日談。『おバカさん』のガストン・ボナパルト再登場。ストーリーはさほど変化に富んではいない、だけど読まずにおれず、最後まで引っぱっていかれるすごさ。

人間、生きていくのにどうしょうもない矛盾をかかえているというのは、夏目漱石の作品を読み継いで来ても強く思うことだけど、そこに文学の楽しみもあるからなんだかおかしい。

しみじみしたり、癒されたり、「わっははは」と愉快になったり、スリルとサスペンスもいいけど、深く深く考える動作も必要なのだ。

時には暗く憂鬱になって、考えに考え、闇の中の燭光のようなもが仄見えはしないかと、いつも期待しているのも読書である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2007年
感想投稿日 : 2021年8月29日
読了日 : 2007年7月30日
本棚登録日 : 2021年8月29日

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