どうしようもなく暗いテーマで、憂鬱のきわみになった。
『海と毒薬』の後日談。『おバカさん』のガストン・ボナパルト再登場。ストーリーはさほど変化に富んではいない、だけど読まずにおれず、最後まで引っぱっていかれるすごさ。
人間、生きていくのにどうしょうもない矛盾をかかえているというのは、夏目漱石の作品を読み継いで来ても強く思うことだけど、そこに文学の楽しみもあるからなんだかおかしい。
しみじみしたり、癒されたり、「わっははは」と愉快になったり、スリルとサスペンスもいいけど、深く深く考える動作も必要なのだ。
時には暗く憂鬱になって、考えに考え、闇の中の燭光のようなもが仄見えはしないかと、いつも期待しているのも読書である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2007年
- 感想投稿日 : 2021年8月29日
- 読了日 : 2007年7月30日
- 本棚登録日 : 2021年8月29日
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