十の輪をくぐる

著者 :
  • 小学館 (2020年11月26日発売)
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感想 : 112

十の輪、という言葉の意味。
今年オリンピックが開催されていたら、別の思いでこれを読んでいただろう、と。

1958年から1964年までと、2019年から2020年までの物語が交互に語られる。
熊本から愛知県へ女工として働きに出ていた万津子と、スポーツクラブを経営する会社に勤めるその息子泰介の、そして孫娘の物語。

痴呆が入ってきた母親の謎めいた過去。かたくなに語ろうとしないその人生。三人をつなぐのはバレーボール。バレーボールに込められた思い。あの日、いったい何が起こったのか。
バレーボールを中心に回っていた物語が、ある時急に別の顔を見せる。急な展開に驚きつつ、そういうことか、と腑に落ちる。それを乗り越えたときに見える新しい世界。
でも…と読み終わって思う。この最後は悲しすぎる。切なすぎる。もう少し早く、何とかならなかったのだろうか、と悔やまれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2020年12月
感想投稿日 : 2020年12月6日
読了日 : 2020年12月6日
本棚登録日 : 2020年12月6日

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