神の悪手

著者 :
  • 新潮社 (2021年5月20日発売)
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本棚登録 : 1130
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今まで読んだ将棋小説は当たり外れが大きくて。将棋を知らない自分でもこれはちょっとなぁ、と思うものもあったりするのだけど、これは間違いなく正真正銘の大当たり!

将棋の世界。藤井君のおかげで将棋のルールを知らなくてもなんとなく身近になった世界。
それでも私たち部外者が見ているものは、表面の、いや表面ですらない外側の一部分なんだと思い知る。
基本的なルールと、将棋盤と駒さえあればだれでもできる。しかも、1人だけでもできる勝負の世界。
この単純明快な勝負の、奥の奥にどんな世界があるのか。

勝ちと負け。勝負であるからには必ずどちらかが勝ちどちらかが負ける。けれど、不思議なことに将棋というのは完全に勝つ、あるいは負けるまで指すことは少ない。その手前で勝敗が決まるからだ。
その、負けを受け入れる瞬間こそが将棋の残酷さなのかもしれない。

ここにある5つの物語は将棋が持つ可能性を、残酷さを、救いを、恐怖を、そして希望をつきつける。
己の身体と頭脳を極限まで使い切る真剣勝負の世界の、その孤高の刃に震えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2021年5月
感想投稿日 : 2021年5月22日
読了日 : 2021年5月22日
本棚登録日 : 2021年5月22日

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