ほどよく自制が効いた、ストイックな美学の産物としての文章が心地よい。沢木耕太郎にしか生み出せない独自の世界が立ち上がっているように見える。悪く言えば彼の世界はそれだけ閉じている、とも言える。なにをどう見てもどう感じても彼の世界を砕く方向に作用するのではなく、彼の美学の中に呑み込まれていくように感じるのだ。多い日も安心。と、半畳を入れるようなことを書いてしまったがこの美学の生々しさ/強度は侮れない。どこか哲学的でもあり、彼の目線の動き方は「なにを書くか」ではなく「どう書くか」が大事だと教えてくれる作用がある
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- 感想投稿日 : 2022年2月10日
- 読了日 : 2022年2月10日
- 本棚登録日 : 2022年2月9日
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