読書術 (岩波現代文庫 社会 24)

著者 :
  • 岩波書店 (2000年11月16日発売)
3.57
  • (59)
  • (121)
  • (173)
  • (15)
  • (5)
本棚登録 : 1331
感想 : 133
4

この本を読んで改めて思うのは、読書はアメーバのようなもので、自分に必要な知識なり愉しみなりをその触手で摂取して増殖していくものではないかということです。しかし、昔読んだ本のことは、かなり一生懸命取り組んだ本を除き、よほどでない限り忘れてしまっている人も多いのではないでしょうか。つまり「自分アメーバ」の触手自体が衰退したり、何か別の方向の触手に置き換えられたりしていくものなのであって、けっして積み木のように積み上げられるものではないのではないかということです。

もともと読書をするための時間(とくに好適な時間)は限られています。(今のところ考える読書は午前中、愉しむ読書は午後から夜間が多いと思います。)また、いくら読んでもその分量には限界があります。(ダイジェストは人のフィルターを通しているため、本当の読書とは言えません。)

読書は、自分を発見するためのもの。人は読書を通じて自分を見出す。だから、読書はひとぞれぞれであり、「何を読むべきか」は人によって異なり、「全部読んでやろう」では、本来の読書の意味から外れてしまうことになります。

だからこそ、触手に引っかかった本に愚直に取り組んだり愉しんだりするしかないのが読書ではないでしょうか。蓄積ではなく愉しみとして。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 0類 総記
感想投稿日 : 2016年3月6日
読了日 : 2016年2月28日
本棚登録日 : 2016年2月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする