どの話も登場人物たちが遠くて、小説というより小説の筋を読んでいるような気持ち。どうにも歯がゆかった。「グランド・マザーズ」なら、苦い高笑いをしなくてはならなかったのはロズひとりなのか、「ヴィクトリアの運命」なら、ヴィクトリアの娘にかかわる人たちは何を思っていたのか、「最後の賢者」なら”賢者”をそばで見ていた者たちに彼はどう映っていたのか。語られないことを想像して読む本なのだろうけれど、想像の材料になる細部がもっと欲しかった。それとも、人は遠いし歯がゆいもの、という本だったのだろうか。
「愛の結晶」の砂糖漬けの果物が一番心に残ったかもしれない。あの状況のジェームズの目に入るんだから、そうとうおいしそうだったのでは。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
英米 - 小説/物語
- 感想投稿日 : 2016年11月7日
- 読了日 : 2016年11月7日
- 本棚登録日 : 2016年11月7日
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