味が濃くて、目が覚める短篇集。身体と願望の分かちがたさと、そこから生まれる苦しみと未来。バトラーの小説の登場人物は、お風呂に入らないとちゃんとにおいそうなのがいいと思う。とくに「恩赦」に、人類は最悪な存在なのが一分の隙もなく描かれていてとてもよかった。
エッセイを読むと、たいへん真面目な努力の人だったのがわかる。SF風味がない短編はエッセイで窺える生真面目さが前面に出ていて、自分の中に共鳴する要素があまりない。そんなバトラーがスコシフシギを取り込むと、何か爆発的な圧を感じる短編を生み出すのがおもしろい。作家とジャンルの相性ということか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
英米 - 小説/物語
- 感想投稿日 : 2022年8月2日
- 読了日 : 2022年7月31日
- 本棚登録日 : 2022年8月2日
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