夏の黄昏 (福武文庫 マ 901)

  • ベネッセコーポレーション (1990年11月1日発売)
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感想 : 8
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春樹訳の『結婚式のメンバー』があまりにもハルキムラカミだったので、加島訳で再読した。こちらの訳のほうが、しゃべり言葉が自然(六歳児が六歳児らしく話す)。登場人物の息遣いとか汗と涙の匂いがただよってくるようで、より近い距離で物語を体験できた。フランキーは調子外れだけどやっぱり普通の女の子だし、ジョン・ヘンリはときにうざったい年下のいとこだった。

ベレニスの、最初の人の影を追い続ける人生の話、自分に閉じ込められてどこにも行けない話は、二回目もぐっとはいってくるものがあった。それと同時に、三人でくっついて心を落ち着けるところ、一緒になって泣くシーンはなにか救われる気持ちになる。最大限がんばっても自分にはそういうことしかできないだろうというあきらめもありつつ、それでだれかの心臓のどきどきが治まるんだったら、くっついていてあげたいものだと思う。それならできるから。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 英米 - 小説/物語
感想投稿日 : 2016年6月7日
読了日 : 2016年6月7日
本棚登録日 : 2016年6月7日

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