1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2012年3月28日発売)
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ライフスタイルの選択肢もない。すべては遺伝子の中に前もって設定されていることだ。そこには迷いもなく、絶望もなく、後悔もない。形而上的な疑問も、モラルの葛藤もない。おそらく。

その作品が多くの人々の同意と共感を喚起すれば、それは客観的価値を持つ文学作品になる。

彼女の簡潔な語法には、不思議な説得力があった。口にするひとつひとつの言葉に、サイズの合った楔のような的確な食い込みが感じられた。

どんなに才能に恵まれていても腹いっぱい飯を食えるとは限らないが、優れた感が備わっていれば食いっぱぐれる心配は無いってことだよ。

いろんな書き直しのアイディアが、太古の海における生命萌芽のざわめきのように、彼の頭の中に浮かんだり消えたりしていた。

ハシゴの一番上の段に『ここが最後の段です。これより上には足を載っけないでください』って書いてあるか?

引いちゃうんだ。蟹が波打ち際を逃げていくみたいに。

責務が厳しければ厳しいほど、敷居が高ければ高いほど、彼らに与えられる至福もより輝かしいものになる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年4月14日
読了日 : 2021年4月14日
本棚登録日 : 2021年4月14日

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