1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 13083
感想 : 802
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001593

作品紹介・あらすじ

1Q84年――私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この『1Q84年』に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。」……ヤナーチェックの音楽『シンフォニエッタ』に導かれるように、主人公青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。謎に満ちた世界で、二人はめぐり逢うことができるのか。
文庫版は全6巻。前後編2冊セットで3ヶ月連続刊行予定。

感想・レビュー・書評

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  • 海辺のカフカのような視点が一章ごとに移り変わっていきながら二つの物語が紡がれていく。一見全く関係のなさそうな青豆と天吾の物語だがいずれ二人は何処かで邂逅し、少なくない犠牲を伴って「あちら側」の扉が開き、日常を取り戻すための冒険が始まるのだろう。
    book1では旧式の装備を纏った警官の存在で青豆の生きている世界の自明性に揺らぎが生じている。昨日までの世界といまここにある世界、そして明日からの世界が全て同じである保証なんてどこにもなくて、僕たちが存在すると信じている世界の連続性なんてものは朧げな記憶によってしか根拠づけられていない。
    そういうメッセージが込められていると仮定すると本作が1Q84というタイトルを冠しているのも頷ける。主人公だけが数年前の世界のあり方をなんとなく覚えていて、現在の世界との矛盾に違和感を覚えつつもせっせと歴史の改変作業に勤しむのが本家「1984」のストーリー。青豆が営む殺し屋業と天吾、そしてふかえりの描く空気さなぎがどう絡んでくるのかとーーーーってもたのしみ!

  • 人生2作目の村上春樹。
    「ノルウェーの森」は、高校時代に1回、社会人になってからもう1回読んだのだけど…

    (2回も読んでおきながら)世間で評価されてるほど面白いとは感じなかった(ファンの方ゴメンなさい)。
    淡々と過ぎゆく日常を描かれるだけという世界観は全体的に暗く、エンタテイメントとしての盛り上がりも無いなぁ…と感じつつ、でも、不思議と読むのをやめられずに最後まで読み進めた、というのが初読時の印象。

    数年後に読み返した時も印象はそうは変わらず。

    ただ、「エロいなぁ」という印象は強まったかな(苦笑)。


    そして、今、「1Q84」を手にとってみた。
    独特すぎる世界観は、6分冊中の1冊目ではいまだ、プロローグの域を出ていないかのように思われるが……

    一つの大きな謎が提示された分だけ、「ノルウェーの森」よりは物語に引き込まれているかな。

    青豆が迷いこんだ「1Q84年の世界」は、この先どのように展開してゆくのか?
    何故そうなったのか?
    最後にはそこから脱出できるのか否か?

    天吾と青豆とはどう絡んでくるのか?
    リトルピープルとは?
    ふかえりは何者?

    謎はまだまだもりだくさん。

    続きが楽しみ♪

    ★3つ、7ポイント半。
    2020.03.12.古。

  • 敷居の高さを感じてたけど、ワタシにとって初村上作品の1Q84。

    すごく読みやすくてびっくりした。
    「青豆」「天吾」と2人の間をいったりきたりしながら、
    ゆらゆらとまだ何も分からないまま漂う時空と心情。
    1984年と1Q84年。

    何かを示唆しているのか暗示しているか
    不思議な空気と不安も含みつつ、魔力があるかのように
    吸い込まれるように惹かれるふかえりちゃんと「空気さなぎ」。

    小さな誤差から始まる記憶の揺さぶり。
    タクシー運転手が別れ際に口にした不思議なメッセージのような言葉。

    まだ不思議な世界の断片を少しずつゆらゆらと見せられているような1巻。
    1つ1つの断片がどこに繋がって、どんな感情や思いに繋がっていくのか
    読み進めるのが楽しみなような、まだ曖昧なままこの場所に漂っていたいような
    中毒性を感じる村上ワールドのはじまりでした。

  • 「私は今この『1Q84年』に身を置いている。
    私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。
    謎に満ちた世界で、二人はめぐり逢うことができるのか」

    全部で6冊あるうちの1冊目。
    357ページ。先が気になる度★4

    比喩マシンガン。
    次はどんな比喩表現が出てくるのかと期待してしまう。
    真似してみようと思ったけどできなかった。

    比喩があるからなのか、パラレルワールドの世界だからなのか、登場人物のキャラクターのせいなのか、独特で不思議な世界観があってとても良い。







    以下ネタバレ!!!





















    青豆と天吾の接点といえば、天吾の父親がおこした傷害事件のニュースを青豆が目にしたくらいだ。二人がどうなっていくのか楽しみ。

    【登場人物のメモ】
    青豆(あおまめ)
    女の主人公。
    29歳 168センチ 痩せ型美脚 しかめっ面は怖い。
    殺し屋。ハゲフェチ。

    川奈 天吾(かわな てんご)
    男の主人公。
    29歳 ガタイが良い。
    母の不倫現場をフラッシュバックする発作持ち。
    予備校の数学教師をしながら小説を書いている。
    高円寺のアパートで一人暮らしをしているがたまに人妻が来て楽しんでいる。

    小松(こまつ)
    45歳 文芸誌編集者。
    長身で痩せ型。タバコを吸う。
    仕事はできるが人付き合いは苦手。
    夜中でも電話をかけて労いの言葉も言わない。

    ふかえり
    17歳 ディスレクシア(読書障害)で学校には行ってない。
    美少女。小説「空気さなぎ」の作者。

    深田 保(ふかだ たもつ)
    ふかえりの父親。身体がでかく指導者気質。
    山梨県山中に怪しい集団「さきがけ」を発足。
    武闘派分派集団「あけぼの」の顧問役にもなる。
    有機野菜で儲けたり謎の資金援助がもらえるようになって宗教集団になったあたりから音信不通になってしまう。

    戎野(えびすの)先生
    60代半ば 元学者。
    160cmくらい 痩せ型。
    ふかえりの10歳からの育ての親。

    アザミ
    戎野先生の娘。
    15歳。ふかえりの語った物語をワープロで文字起こしして勝手に新人賞に応募した。


    【内容メモ】
    青豆と天吾視点。

    青豆は警察官の服装が変わっていたり、知らない事件が起こっていたことでパラレルワールドの1Q84年に来てしまったことに気づく。
    殺し屋をしながらのらりくらり過ごしている。

    天吾はふかえりの小説に感銘を受け小松におすすめした。
    文章が駄目駄目なので、天吾が秘密裏に編集し新人賞に美少女ふかえり名義で出そうと小松が企てる。
    天吾は迷っていたが、実際にふかえりに会ってみたら編集したい気持ちが止まらなくなってしまった。
    謎多き美少女ふかえりが書いた小説になにかヒントがあるのかもしれない。



    後半へ続く!!!

  • 村上春樹とは相性が良くない。
    そうはわかっていても読んでみたい作品であった。
    いよいよ重い腰を上げて挑むことにした。
    村上春樹、久々の再会。

    まだこの前編を読んだだけでは物語の全貌は見えてこない。
    しかし、おもしろいのだ。なんとも言えず、面白い。
    いつもの村上春樹であることは間違いない。
    ただ、どこかいつもの村上春樹と違う雰囲気も漂っている。
    決してハルキストと呼ばれるほど彼の作品に触れているわけではない。
    それでも、どこかそう思ってしまう。

    果たして、青豆と天吾とは何者なのか。
    2人のいる1Q84という世界は何なのか。
    どこか懐かしい雰囲気が漂う世界に足を踏み入れ、
    この先に見る景色を貪欲に待ち望んでいる自分がそこにいた。

  • 「村上春樹の『1Q84』入荷しましたー」

    朝の通勤電車に乗り込む前にそんな声が聞こえてきた。駅前の小さな本屋さんの店員が外に出て宣伝をしている。村上春樹さんの新刊が出る、というのは出版における一つのイベントめいたものがある。私がそのイベントを初めて体感したのは『ねじまき鳥クロニクル』が文庫化された時だった。少し遅ればせながらようやく手に取った『1Q84』。かなり入り込んで読めた。今までの自身の春樹体験でもっともよかったかもしれない。それはこの『1Q84』という作品がいい、ということと一致するわけではないと思う。何か今までの春樹作品がいろいろと腑に落ちた感じだ。

    これまで春樹さんのものは中長編はほぼ読んできていたが短編やエッセイはかなり取りこぼしがある。そして『アンダーグラウンド』も読んでいない。今回『1Q84』を読んで『アンダーグラウンド』を読みたい、と思った。春樹さんの作品間のいろんなことがつながる感じが自分の中であった。『1Q84』自体も春樹さんがこれまでやってきたことをいったんまとめてみる、という思いがあるように感じた。

    Book1の途中まで読んだ時「これは無意識のことが書かれているのか」と思う。そうすると何かがほどけるように読めていく。「そうか、そうか」とうなずきながらページをめくる手が加速した。

    読みながら春樹さんはこれを河合隼雄さんに読んでもらいたかったんじゃないだろうか、と考えていた。するとユングが引用される箇所に出会う。「ああ、やっぱり」と思う。チェーホフの『サハリン島』の引用も印象に残って見事だと思うけど、引用されるものの多彩さも楽しかったことの一つだ。

    村上春樹さんといえば日本人離れした登場人物の会話というのも特徴の一つだと思う。私もこれまで「まあ、そういうもんなんだろう」と評通りの読み方をしてきたのだけれど、これは「夢の語法」なんではないかと今回読んでいて思った。夜寝る時に見る夢の中では、論理的にはつながっていないような出来事同士でも何の違和感もなく連結されていく。村上春樹の登場人物同士の会話はまさにこれだ。誰かが何かを言う、すると相手は「あなたの言うことはわかるわ」とか相手が言ったことの単純な繰り返しを同意として返したりする。夢の中ではおかしなことでも全てが必然のようにつながっていくこととこれは感覚的につながる。こういうことは既に言われていることなのかもしれないが、なんで今まで気づかなかったのだろう、というぐらいこの書き方が自分の中で了解されるところがあった。

    この本を読んでいて一番スリリングだと思ったところは、青豆と宗教団体のリーダーの対決の部分だ。リーダーの言葉は実は非常に理が通っていて魅力的とも言える。危険なカルト集団ともなりえるリーダーの言葉に理屈を見いだすのは大変後ろめたいことだ。だから、春樹さんはこれをどう乗り越えるのか、という関心を持ちつつ読んだのだが、これを「超える」という形では答えが示されていないように感じた。もっと違うアプローチを示してくれたように私見では思う。傷ついたものはどう癒されていくのか、ということと、暴力というものがどのような性質を持っているのか、が徹底的に書き込まれているのだと思う。

    春樹さんのイメージする「暴力」は、「どこかに突然投げ込まれてしまうこと」ではないかと思う。何かの拍子に突発的に起こった事件に巻き込まれて被害者となってしまうこと、というのがかなり直接的にイメージされるけれど、「どの時代に生まれるか」とか「誰を親として生れてくるか」といったようなことだって、よく考えれば自分で選べることではない。そういう感覚に共通するものに「暴力」を見ているのではないだろうか。

    幸せに生まれてくる人もいる。けれどもそうでない人もいるだろう。そういう時に「暴力」という強いイメージまでいかなくても、ある種の感情が喚起されることはあると思う。そして「暴力」を受けた、と感じた側はそれによって傷ついた心をどのように癒していけばいいのだろう、というようなことを春樹さんは考えているのではないだろうか。

    そして私見ではそれは別の心に出会うこと、そしてそれを探し求めることなのではないだろうか。「心」というよりも「魂」という感じか。魂はどのように傷つき、どのように癒されるのか。青豆と天吾は互いの魂を求めている。そしてそれを求めていく過程が癒される過程と近似するのではないかと思う。

    村上春樹さんがこんなにも売れる作家である、というのが昔から不思議だった。ストーリーとしてはそれほど論理的に説明できるものではないし、どの辺をみんな面白がっているのだろう、と思っていた。村上春樹作品というのは、そういう意識下で論理的に説明できるようなものではないのではないのだろうか。読む人の心の深い所へ沁みていくような作品だからこそ、こんなにも多くの読者を惹きつけるのかと思った。

    今回、他の作品に対するイメージもだいぶ塗り替えられ、いろいろと読み直したいなと思った。他にもいろんなことを思った気もするけど、それは少しずつ残していくとしよう。

    • 花鳥風月さん
      確かにお祭りですね~。この祭はけっこう好きなんです。

      > 音楽や文学との繋がり

      「音楽との繋がり」で思い出すのですが、ヤナーチェクの「シ...
      確かにお祭りですね~。この祭はけっこう好きなんです。

      > 音楽や文学との繋がり

      「音楽との繋がり」で思い出すのですが、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」にも興味津々です(この人もチェコの人なのか…)

      > (勿論、嫌われてもいて)

      春樹さんにはあまりいいことを言ってない人のものもけっこう読むのですが、それだけ無視できないような存在なのかな… と思っています。村上春樹推しの内田先生の著作が気になるところです。
      2012/08/01
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「この人もチェコの人なのか」
      そうです。クンデラ原作の映画「存在の耐えられない軽さ」で使われたりしています。
      熱心なファンが居て「日本ヤナー...
      「この人もチェコの人なのか」
      そうです。クンデラ原作の映画「存在の耐えられない軽さ」で使われたりしています。
      熱心なファンが居て「日本ヤナーチェク友の会」で自費出版されたり。。。
      もう随分前ですが、サイトウ・キネン・フェスティバル 松本で、オペラ「利口な女狐の物語」が上演された時は観に行きたかった(チケット取れず)
      「内田先生の著作が気になるところです」
      一応6冊読了したので、心置きなくガイドブック?が読める・・・ケトルでは本に出てきた音楽リストがあるそうなので楽しみにしています。。。
      2012/08/22
    • 花鳥風月さん
      nyancomaruさん

      『1Q84』読了されましたか? 「ケトル」そういえば本屋で見かけてたのに買うの忘れて別の本買ってました… 次行っ...
      nyancomaruさん

      『1Q84』読了されましたか? 「ケトル」そういえば本屋で見かけてたのに買うの忘れて別の本買ってました… 次行った時に買おうっと。「ケトル」の音楽リストを見てちょっと世界を広げてみたいです。
      2012/08/25
  • 祝!国際交流基金賞受賞
    http://www.jpf.go.jp/j/about/award/index.html

  • 村上春樹の作品は読みたいけど
    最初の一歩はすごく遠い。
    だけど読みだすと小説の世界に
    ゾッコンしてるのが定番。

    青豆と天吾の物語はこれからどう絡んでいくのか展開が気になる。
    世界観全体の日常にある非日常感が好き。(語彙力)
    あと村上春樹作品のエロティックな性の表現。
    やれやれ。

  • 青豆と天吾の視点が交互になっている。不思議な話。

  • 強烈な村上春樹ワールド。世界観がなんともいえないが、それを確実なものにしているのは、一人ひとりの人物の匂い立つようなリアルな描写である(といって、現実にこういうひとがいる、という意味では決してない)。
    わけのわからないところから、物語の指針が示されていくので、否応なくテンションが上がっていく。

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著者プロフィール

1949年 京都府生まれ。著述業。
『ねじまき鳥クロニクル』新潮社,1994。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』新潮社,1985。『羊をめぐる冒険』講談社,1982。『ノルウェイの森』講談社,1987。ほか海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、2016年ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞。

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