愛人 ラマン (河出文庫 509B)

  • 河出書房新社 (1992年2月5日発売)
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本棚登録 : 1026
感想 : 120
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映画を2〜3回観てから読んでみた。本の方が間に今現在の描写が何度も出てくるので、回想感が強い分ちょっとあっちこっち気が飛んでしまうかも。
読んでも観てもお話のような運命の出会いだよなぁと思う。男はロリコンでもなさそうだし、むしろ15歳という歳に似合わず大人びている彼女に一目惚れしたんだろう。その男が大金持ちで彼女は家が貧乏で苦労している…なんて。なんてドラマみたいなの!交際?している間は淡々と付き合って深入りはしないようにしていたけれど、最後の客船での涙は愛していたから流れたのよねぇ。それでもあの当時もう2度と会えないかもしれない距離に帰ってしまったことは、彼女にとっては忘れられる、思い出にできる機会ではあったよな。全てをサイゴンに置いてきた。
読み終えた今、あたしはホーチミン(サイゴン)に居て、この地で映画も本も目を通せて良かった。異常と言っても良いスピードで経済発展をしたサイゴンにインドシナの面影はもう無く、港も寮の建物も残っては居るけれど映画のソレでは無い。映画撮影当時、色補正やセットの作り込みはしているだろうけれどあの時が1930年代を辛うじて感じ取れる最期の時だったのではと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月20日
読了日 : 2020年8月20日
本棚登録日 : 2020年8月20日

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