ロードス島戦記―灰色の魔女 (角川文庫―スニーカー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (1988年4月1日発売)
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本棚登録 : 790
感想 : 83
3

冒険者…といえば聞こえはいいけれど
要するに、その日ぐらしの若い男が2人組である
しかし「正義」を愛しており
事なかれ主義で揉め事を先延ばしする大人たちのことは嫌っていた
そんな彼らが、村人を脅かすゴブリンの群れを退治するため
これに先制攻撃を仕掛けるところから話は始まる
…ゴブリンとの戦いには勝利するものの
それを成し遂げられたのは、お節介な大人たちの依頼を受けて
救援に来てくれた魔術師とドワーフのおかげで
若者たちは、己の無力を痛感する
しかしそこから始まる縁で、武者修行のパーティーを組んだ彼らは
さらにエルフの女と、盗賊の中年男をメンバーに加え
さまざまな揉め事に首を突っ込んでいく

もとは80年代の半ば
ゲーム雑誌上で展開されたD&Dのリプレイ企画だった
それが人気を集め
小説・アニメ等にメディアミックスされていったものである
「六英雄」なる伝説の実態を目の当たりにした冒険者たちは
仲間のひとりを失いつつも
島に戦乱をもたらした悪の大魔術師を倒すことに成功し
物語は大団円を迎えるかのように思われた
しかしその時
監獄の中で青春を潰された恨みを抱え
仲間内でもどこか浮いてた盗賊が
ある突発的な、裏切り行為に走ったことで
謎と混乱を残しつつ、パーティーは解散することになるのだった
それは、一本気で向こう見ずな若者たちに影響された
遅咲き中年の悪乗りだったかもしれないが
しかしなんというか
80年代日本における、まじめな若者たちの
切実さを含んだ結末でもあった

ただし、ゲームシナリオがベースというだけあって
小説としてはかなりご都合主義的な展開が目立っている

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感想投稿日 : 2019年9月30日
本棚登録日 : 2019年9月30日

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