線は、僕を描く

著者 :
  • 講談社 (2019年6月27日発売)
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本棚登録 : 9272
感想 : 878
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中干しによって稲が活力を得るように、力が湧き上がってくる。こんな小説が読みたかった。
中学校で美術を教えてる友人が、生徒のためにこの本を教室に置いたと聞いた。
水墨画の魅力を伝える本。いいえ、喪失感を味わったものに命を吹き込む本だ。
青山君と師匠の「孤独の共振」。二人の目から涙が溢れた瞬間に壁がスッと消える。花、生きている命と、一体化する心。自然と手が動いていく。描けなかったことが嘘のように。
長い月日を経て「ただいま」と言う勇気。返ってくるはずのない「おかえり」が返ってくる。ボロっときた。その彼女の声こそ彼の支え。
読後感も最高だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 砥上裕將
感想投稿日 : 2024年4月29日
読了日 : 2024年4月29日
本棚登録日 : 2024年4月29日

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