騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

著者 :
  • 新潮社 (2017年2月24日発売)
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感想 : 734
5

「ドン・アンナ」が登場してから、「ドン・ジョバンニ」(モーツァルト)の序曲を何度も何度も再生させながら読んだ。
ファンタジーでありながらファンタジーでない。絵を通して歴史に潜む真実みたいなものを語っている。
現実と非現実は曖昧で、存在自体も不確かである。
自分の中に沈思し、自分の本当の姿を見つけ、自分が欲していることを見つけていく。そんな話だった。
妻の懐妊は、1Q84の天吾と青豆を思い出した。1Q84はふかえりをなかだちにしていたけれど。
何と言ってもわたしと秋川まりえのからみが面白い。わたしとの繋がりでまりえの中の塊が溶けていくさまがいい。二人の時間をずっと見ていたかった。
暗黒の中でも、希望と信が仄かにたゆたう作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 村上春樹
感想投稿日 : 2024年2月15日
読了日 : 2024年2月14日
本棚登録日 : 2024年2月14日

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