ゴッホと弟テオ。そして二人の日本人画商の織りなす物語。
弟テオは兄を経済的にも精神的にも支えながら、支え切れない自分を責めていた。苦悩しながらも兄を求め、兄を愛する。
二人とも繊細で、過敏なほど神経が細かく、引き合っている。悲しい程切ない二人の結びつき。
日本の浮世絵が印象派の画家達、モネ、マネ、そしてゴッホに影響を与えたことは歴史で学んだ。そこに命を吹き込み、フィクションでありながら本当のストーリーと思わせてしまうマハさん。天才だ!
自分が価値を見出すことはせず、むしろ他人が価値を認めると追随する日本人をさりげなく批判するところも面白い。自分もそうだから。
若い頃、アムステルダムのゴッホ美術館を訪ねたことがある。もしこの本をあの頃読んでいたら、もっともっとゴッホが響いてきただろう。
限りなく切ない話だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
原田マハ
- 感想投稿日 : 2023年12月3日
- 読了日 : 2023年12月3日
- 本棚登録日 : 2023年12月2日
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