ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2008年8月28日発売)
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理想を語ることと現実を見ないことは違う。

主人公後藤(21歳)があまりに独りよがりでイライラし過ぎた。企業とか組織を舐め過ぎ。
劇団四季とかシルクドソレイユとかAKBとか、あーゆーエンタメ集団のレギュラー争いやマインド見えるドキュメンタリー見たことないのかな?2008年発売当時は無かった?

途中で読むのやめようかと思ったけど、ディズニーランドという設定と展開のスピード感でとりあえず読み終えた。

社会人生活10年の中で、店舗のCSリーダー・採用担当・顧客満足推進室にいたことあるから、人よりももしかしたら厳しい目線で見てしまうのかもしれないけど、それにしても後藤ヤバすぎ。「全体最適」の感覚無さすぎ。CSって目の前の人間を喜ばせればいいって話じゃないから。

ディズニーランドっていうリアルさが無ければもっと受け入れられたのかなぁ?若い頃に読んでたら面白かったのかなぁ?ストーリーとしては、勧善懲悪もので組織のクライムサスペンス小説の青春版みたいなかんじで構成は読みやすいとは思うけど、半分くらいまで後藤にイライラしすぎて残りの活躍だけでは後藤の評価は覆らなかった。

出勤初日で有名じゃないキャラのこと目の前で「カスキャラ」とか、「こんな恥ずかしい格好させて裏方?」とか「もっとやりがいある仕事したい」とか口に出してる時点でヤバいし、年収1000万の人が人のこと上から目線で見るのも嫌なのに、誰が上から目線で物言ってんだよ。誰だよお前。まずタメ口やめろ。
後藤を受け入れてる時点で他の人もイマイチ感情移入できず。行動も「そうなる?」ってところあって、私的には違和感のまま最後まで過ぎていった。ミッキーマウスの中の人は2人ともプロ意識あって行動力もあるから好きだった。

私だったら早めに説教して辞めさせてるかもな。自営の小さいお店とか事務仕事ならフォローできなくもないけど、ブランドイメージの大事さやフロートやライド系など危険も少なからずあるパークで働かすには勝手な行動が多過ぎて危な過ぎる。
最後の方もディズニーランドのためにとかお客さんのためにとか、今までの行動を棚上げして、急にキレイゴト言い始めて全然楽しめなかったわ。

組織において理想は語り続ける必要があると思う。それがオペレーションを変えたいとか建設的なことかもしれないし、単なる上司への愚痴かもしれない。それでもいい。
でもそれが誰かの士気を下げたり、自分のモチベーションが上がらない理由にするのは違う。ましてやそのルールの中で一生懸命働いてる人をバカにするなんて。
私はCS(顧客満足)とES(従業員満足)はすごく大事だと思ってる。従業員が納得して働いてる状態が1番パフォーマンスが上がって顧客満足へ繋がると思ってる。でもそれは顧客満足を達成するためのそれである。顧客満足を見据えていないただの甘ちゃんの意見は聞くに値しない。代替え案を言えないのに文句だけ言う奴は年齢役職関係なく大嫌い。

本読んでて、こんなに腹立ったの初めてかも(笑)



◆内容(BOOK データベースより)
東京ディズニーランドでアルバイトすることになった21歳の若者。友情、トラブル、恋愛…。様々な出来事を通じ、裏方の意義や誇りに目覚めていく。秘密のベールに包まれた巨大テーマパークの“バックステージ”を描いた、史上初のディズニーランド青春成長小説。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年7月20日
読了日 : 2023年7月20日
本棚登録日 : 2023年7月20日

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