不機嫌な果実 (文春文庫) (文春文庫 は 3-20)

著者 :
  • 文藝春秋 (2001年1月10日発売)
3.17
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感想 : 169
5

#読了 2021.10.1

はじめての林真理子作品は「聖家族のランチ」で、それなりにおもしろかったが、林真理子作品の中では異色とのことだったので、林真理子作品の王道を読むべく手に取った次第。昔ドラマ化されてたよなぁってくらいの知識で読み始めた。

最高すぎた…!!!www
これは想像だけじゃ絶対書けない!よね?
林真理子先生は若い頃相当遊んだのか?
頭から1/4くらいまでは(ちょっとちょっと!真理子せんせ!正直に書きすぎィ!www)って心の中でツッコミまくってたw男女の駆け引きや女の心理(狡さ、下品さ、純粋な疑問、謙虚な気持ち、横柄な気持ち、評価されたい気持ち)をネタバラシされたような心地。
共感したと言ってしまうと私の貞操観念や恋愛観や恋愛にもならないアレコレを邪推されそうだけれども(笑)。
いやもちろん、分かる〜!とか私だけじゃなく麻也子もそうなのね!というところがあれば、いや私は流石にそこまでじゃないって思ったり、いるいる嫌いだわこーゆー女って思ったり、かと思えばかわりにやってくれた!(やりやがった!)ってとこもあったりで、最後の最後まで(そしてきっとこれからも)女くさい麻也子が面白かった。体の関係になった時点で男は得してるって感覚は分かる。お互い了承の上なんだからトントンだってのは頭で分かってるけど、どうしてもホテル代だけは男性に出して欲しいし、その時だけでも女性扱いしてもてなしてほしいよね(笑)
ストーリーの終わり方としても、麻也子なりに逡巡して行動を起こしてめちゃくちゃ労力かけて劇的な経験をしても、結局なんにも変わらない麻也子は気持ちがいいくらい。散々あんたが望んだドラマティックな展開はなんだったの?!こっちが振り回されたわぁくだらねぇ!って近くにいたら思ってしまうかもしれないわ(笑)
あと、麻也子のお姉ちゃんがめちゃくちゃいいね。白も黒もグレーも知ってそうな頼もしくて気持ちのいいお姉ちゃん。
あと、男の人が不機嫌になってるのが幼少期のトラウマですごく苦手なので、航一が不機嫌になる姿は心臓がグーッとなった。

ちなみに読書してる人って貞操観念緩くなさそうだから共感する人少なそうだし、まして読書好きな男の人からしたら全然意味わからないんじゃないかなぁとまで思ったよね。(失礼かしら?笑)

読んでいて、私と同じこと思ってるーってとこもたくさんあったけど、私より麻也子の方が女のプライドが保たれてるから、ちゃんと女性扱いされることばかりだったんだろうなぁと思う。いい女って扱いも憧れの女性って扱いもされたことはあるけど、単なるメスとか穴としか思ってないんだろうなぁって経験もすると、そんなに過去のキラキラ(自分が女として評価されてた頃)に縛られないし、男に過度な期待も押し付けもしなくなるよなぁとも思った。

私が1番麻也子と違うなぁと思ったのは、自分が損をしているとはあまり思わないこと。
基本的に全ての選択は自己責任だと思うし、損をしそうだったらもっと前に気付くし、自分がやり通したいなら損は覚悟のうちだから後からネチネチ思うことはない。
麻也子みたいに美味しいとこ取りしようと企てるのは、損する覚悟をしてからにしてほしいな。ルルーシュも言ってたよ。「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ」って。
よくある自己啓発本みたいなこと言っちゃうけど、美味しいとこ取りに失敗したから損してると思う考え方は、それこそ人生損してるよね(笑)
でも、鏡の前で自分の裸を見てうっとりできるのは素晴らしい。いつどこで殿方に見られても胸を張れるプロポーションでいることは、女としての自信に繋がるだろう。産後の体型崩れが酷い私にとって、とてもいい刺激になった。ダイエットがんばろう。うん。

他の方の感想でバブリーだと書いてる人が多かったが、私はそこまで感じなかったし、実際の96年(私は当時中1)はもうバブル感なかったと記憶している。むしろ男と女はいつの時代も真理に行き着くなと思ったくらい。真理をついた名言満載。
多少感じるバブリー感は林真理子節かなとも思う。もしくは、女がイケイケに遊んでる部分にみんなバブリーを感じたのだろうか?別にバブルじゃなくても遊んでる女は遊んでるし、ブランド好きな女は平成も令和もいる。

エッセイも有名みたいなので読んでみたいし、女くささ全開の他の作品も読んでみたい。
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1997年テレビドラマ、1997年映画、2016年テレビドラマはどれも見たことないが、登場人物のキャラが濃いから、実際のキャスティングと私のイメージを書いてみる。

◎麻也子
97TV…石田ゆり子
97映画…南果歩
16TV…栗山千明
南果歩はだいぶイメージに近い。
私的には97年は小泉今日子、菊池桃子、南野陽子、16年は北川景子、片瀬那奈、仲里依紗、広末涼子、香里奈。
97年は女のプライドの高さは幼さから来るようなかんじで、その幼さに可愛げを感じるような。16年はモデルあがりの線の細さで女のプライドが似合うかんじで、女子校時代の友達と噂話しそうな。

◎通彦
97TV…岡本健一
97映画…鈴木一真
16TV…市原隼人
岡本健一はドンピシャ。私的に16年は窪田正孝。体の線が細くて自分の趣味を楽しく笑顔で語りそうな反面、嫉妬したら価値観押し付けたり怖そうなタイプ。

◎野村
97TV…内藤剛志
97映画…根津甚八
16TV…成宮寛貴
私的には97年は渡辺謙、時任三郎、16年は椎名桔平、上川隆也あたりが良かったなぁ。ユーモアがあって遊んでる感じだけど仕事もできそうな。劣化していく残念感も似合うような。線は細くないかんじ。

◎航一
97TV…渡辺いっけい
97映画…美木良介
16TV…稲垣吾郎
私的に97年は沢村一樹、大沢たかお、仲村トオル、16年は三浦翔平、田中圭、向井理あたり。線は細すぎず、職場での女ウケが良さそうな優しそうな、それでいて仕事もできそうな。でも家では気が利かなそうな。

◆内容(BOOK データベースより)
三十二歳のヒロイン、水越麻也子は、結婚六年目の夫に不満を抱き、昔の恋人野村と不倫の逢瀬を重ねていた。だが歳下の情熱的な音楽評論家、通彦との恋愛で、麻也子は大きな決断を迫られることになる…。「不倫」という男女の愛情の虚実を醒めた視点で描いて一大社会現象を巻き起こし、TV・映画化された、恋愛小説の最高峰。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月3日
読了日 : 2021年10月3日
本棚登録日 : 2021年10月3日

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