みすず書房から出た「洛中生息」に「続・洛中生息」からも数篇を加え文庫化されたものですが、もとは、ようは京都新聞に載ったもの。いまや財団となった杉本家について書かれたものはおセレブすぎで、よそのこと、ですが、これは歩く杉本先生なので、同じ道を歩くことができます。それももうなくなった道を。いまや山も町も荒廃してしまった、と言いながらある京都を幻視しつつ歩く、その無残な姿を晒した町こそが、ちょうど70年代、幼い、物心つくまえの私が見た町なので。そしてこうやって、解説で二重映しといわれる京都は、読むもの(京都新聞購読者)によって、三重に四重にと重ねられ、失われ。鮮やかに、やはり聢としかなりようがないのでした。
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居る
- 感想投稿日 : 2010年3月26日
- 本棚登録日 : 2010年1月8日
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