中学生棋士 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA (2017年9月8日発売)
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中学生棋士
谷川浩司
2018年5月1日読了。

谷川浩司。1962年生。
加藤一二三九段に次ぐ史上二番目となる中学生棋士であり、羽生世代の1つ上の代にあたる。21歳で棋界の最高峰である名人を獲得した記録はまだ破られておらず、97年には通算5期の名人位を獲得して十七世名人の永世称号を獲得。
終盤の鮮やかな玉詰めを評して「光速の寄せ」の異名を持つ。

谷川浩司九段から見た藤井聡太四段の一冊。

語彙力が豊富で文章力も高い
棋士は「自戦記」という自分の対局の内容を言語化して説明する記事のことだが、簡潔かつ迫力ある筆致で雑誌記者も「一字も直しませんでした」と言うほど。

才能とは
藤井聡太にしても羽生善治にしても、天才とは持って生まれたものではない。
才能とは、継続できる情熱を持てるかどうか。この点については羽生さんの「決断力」渡辺明の「勝負心」でも書いてあって谷川九段も全く同意見。
確かに、他にもプロゲーマーのときどの本にもサブタイトルでありますよね。情熱が大事であると。藤井聡太も将棋に傾けた時間と情熱は同じ年代の人よりも圧倒してると著者は語ってました。

アメリカの全米天才児協会
アメリカには天才児を6つの分野で分けて捉えている。詳細は石角友愛著書「才能の見つけ方 天才の育て方」がある。
知性、創造性、芸術性、リーダーシップ、特定の学問、運動能力
ここで谷川九段が将棋の才能には特定の学問をまず挙げて、プロには知性、創造性。トッププロには芸術性も必要な気がすると言ってたのは興味深い。

一万時間という目安
プロのレベルになるには約10年間。一万時間以上が必要。これは米長邦雄の本にも書いてありましたね。例えば1日3時間、年間1,100時間。9年で約一万時間の計算。小さい時に没頭するものが出来て継続できれば、10代で才能は開花すると。

渡辺明について
羽生世代に1人立ち向かう渡辺明に対して、期待しているという言葉を混ぜつつもかなり厳しい批評が多かった。ジェネレーションギャップや将棋に対する考え、姿勢もあるのだろうけど思う所ある。ってのが滲み出てました。

2017年刊行の本書。
終わりのほうにも書いてあったけど新たな時代を築けるかはこれからの藤井四段の精進次第なんでしょうね。
楽しく読めました。

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感想投稿日 : 2018年5月1日
本棚登録日 : 2018年5月1日

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