新史 太閤記(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1973年5月29日発売)
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本棚登録 : 2674
感想 : 168
5

☆☆☆2011年11月レビュー☆☆☆

容貌醜悪、卑しい出自・・・
コンプレックスの塊のような秀吉が
凄まじいまでの努力と優しさによって出世してゆく『太閤記』という読み物は日本が世界に誇る文学作品だが
本書は司馬氏が独自の『秀吉』を描く。
各国を放浪し、苦労しながらも信長に拾われ才能を発揮。全力で仕事をこなしていく秀吉の姿に心打たれる。
金ヶ崎の退却戦のシーンがもっとも印象に残った。
仲間を逃がすために自ら犠牲になろうとした秀吉の覚悟の大きさを見事に描ききっていると思う。
人たらしと言われたその力を生かし、敵をどんどん味方に引き込む彼の魅力もよく伝わってくる。
この作品もまた、読む人に元気を与える名作。


★★★2019年1月★★★

久しぶりに読んだ。
木下藤吉郎の若い頃。
悲惨な時代を知るがために必死に働く姿が胸を打つ。
「奉公を商っている」
つまり、使われるのでなく一人の個人として「奉公」というものを請け負っている。
この姿勢は素晴らしいと思う。
僕も一つ一つの仕事を「請け負っている」という思いで日々頑張りたいものだ。

藤吉郎は、その悲惨な前半生にも関わらず、いつも前向きで明るい。人を殺すのを好まず、調略で戦争を片付ける。戦国時代にあって、稀有の優しさを持った男だからこそ、天下を取ることができたのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史小説・時代小説・史伝文学
感想投稿日 : 2011年11月14日
読了日 : 2011年11月13日
本棚登録日 : 2019年1月11日

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