厄除け詩集 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社 (1994年4月5日発売)
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近現代の詩なのだけれど、抽象にゆき過ぎずのびやかに素朴に書かれた感じがあり、読みやすい。
ひとつの場のありよう、その点景や心情を描いた趣きのものが多く、俳句に近い感じがした。

さて「厄除け詩集」という表題である。どういう意匠だろうと考える。
「 冬 」と表題された詩がある。

僕は風邪を引きたくない 
おまじなひには詩を書くことだ  

という一節がある。
その心象が由来のなのかも…と思っている。

漢詩の訳も所収。これが大胆自由な意訳でびっくりする。例えば、田家春望 という四行詩

出門何所見
春色満平蕪
可歎無知己
高陽一酒徒 
 
これを
ウチデテミリヤアテドモナイガ
正月キブンガドコニモミエタ
トコロガ会ヒタイヒトモナク
アサガヤアタリデ大ザケノンダ 

面白い。

巻末に「 年譜 」。
太宰との交流がちらほら記載されていて興味深い。
一九三八年 九月 山梨県御坂峠に太宰治が訪ねて来た、とある。あー、井伏氏が放屁した時だなと思い出す。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 詩・短歌・俳句 
感想投稿日 : 2022年1月9日
読了日 : 2022年1月4日
本棚登録日 : 2021年12月30日

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