近現代の詩なのだけれど、抽象にゆき過ぎずのびやかに素朴に書かれた感じがあり、読みやすい。
ひとつの場のありよう、その点景や心情を描いた趣きのものが多く、俳句に近い感じがした。
さて「厄除け詩集」という表題である。どういう意匠だろうと考える。
「 冬 」と表題された詩がある。
…
僕は風邪を引きたくない
おまじなひには詩を書くことだ
という一節がある。
その心象が由来のなのかも…と思っている。
漢詩の訳も所収。これが大胆自由な意訳でびっくりする。例えば、田家春望 という四行詩
…
出門何所見
春色満平蕪
可歎無知己
高陽一酒徒
これを
ウチデテミリヤアテドモナイガ
正月キブンガドコニモミエタ
トコロガ会ヒタイヒトモナク
アサガヤアタリデ大ザケノンダ
面白い。
巻末に「 年譜 」。
太宰との交流がちらほら記載されていて興味深い。
一九三八年 九月 山梨県御坂峠に太宰治が訪ねて来た、とある。あー、井伏氏が放屁した時だなと思い出す。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
詩・短歌・俳句
- 感想投稿日 : 2022年1月9日
- 読了日 : 2022年1月4日
- 本棚登録日 : 2021年12月30日
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