「三国志」にまつわる思い出がある。88年夏、個人旅行で中国西域へと長旅した。トルファンのあたりで、香港からきた6人ほどの若者たちと出会い、数日ほど一緒に旅した。彼らのうち一人の青年が「三国志」をいつも携えて熱心に読んでいたのだ。「彼は「三国志」に夢中だから」と同行の香港人にひやかされていた。きっと格別に面白い本なんだろうな…と思った記憶がある。
だが、私はなぜか歴史小説に食指がうごく機会が無く、長らく未読のままであった。そして最近、妻曰く。「男なのに「三国志」読んでないなんて珍しい。ふつう男なら読むでしょ」。妻も読んだらしい。そんな経緯もあり、読み始めることにしたのであった。
で、内容についてである。戦において、緻密で天才的な戦術が繰り広げられるもの、と想像していた。だが、読み進めるとちょっと趣を異にした。戦の勝敗を決するのは、巨躯や獣じみた腕力を備えた漢たちの、いわば個人のパワーに依拠することも多いのであった。
劉備玄徳の闘いには、そういう戦術の天才らしきところを思わせるものはまだない。思えば、そういう軍師らしき戦ぶりを示すのは、諸葛孔明か。巻の一では、孔明はまだ登場していない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史小説
- 感想投稿日 : 2022年7月23日
- 読了日 : 2022年7月18日
- 本棚登録日 : 2022年7月1日
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