和菓子のアン

著者 :
  • 光文社 (2010年4月20日発売)
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本棚登録 : 3515
感想 : 747
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行きつけの図書館で存在感を放ち ずっと気になってた本!
やっと読みましたぁー

「◯◯のアン」…っていうと 「赤毛のアン」を想像しちゃうでしょう
それでもって あと何冊かがシリーズらしくて「◯◯のアン」って隣接して棚に並んでるわけで…
けっこう挑戦的だなと思わずにいられない 気になってた本

表紙は薯蕷饅頭がぎっしり詰め並び ほっこり系の字体で「和菓子のアン 坂木 司とタイトルと著者名が中央にある
「赤毛のアン」ファンとしては この挑戦に受けて立っていいのものかと戸惑いながら月日が経ち 先日雑誌か何かでおすすめされているのを見て やはり読まねば…と図書館で借りて帰った次第だ

 文章が平易で サクサク読めるのもいい


主人公のアンは ほんとは梅木杏子(きょうこ)ちゃん
だけど一緒に働く乙女心のイケメン男子 立花さんが
『ねえねえ、梅木さんの名前って杏(あんず)の子で杏子だよね。和菓子屋だし、あんこちゃんって読んでもいいかなあ?』って言ったところから『せめてあんこの『こ』は取ってもらえませんか』と言った杏子ちゃんの意見が通って アンって呼ばれる(立花さんだけに)

店長の椿さんのちょっとした推理がやや強引に感じるのと アンちゃんと一緒に東京百貨店の一角『和菓子舗・みつ屋』で働く桜井さん お客様の杉山さん イケメン立花さんの師匠の松本さん 同じ百貨店のお酒売り場の社員の楠田さん 同じく百貨店の化粧品売り場で働く五月さん…ちょっと苗字が植物系で統一されすぎてるのが物語すぎる感がある部分は気になりながらも ほっこり楽しく 和菓子の世界を堪能できる物語だ
ひとつひとつの和菓子のエピソードも面白い


◯『絶望するほどひどくないけど、希望を持つほど良くもない。ものすごく中途半端な中で、ただぼんやりしていることしかできない。ていうか、これっていわゆるあれじゃない?
甘やかされた子供。直訳すると「最低」ってやつ。』
(本文より)

この直訳の部分 うまいなぁーって思った
これは 杏子ちゃんが就職で悩んでる場面


◯『「あとさ、亥の子餅ってそのものズバリが『源氏物語』に出てくるんだよね。『葵』の帖でさあー」』
(本文より)

亥の子餅 食べたーい!
それでもって亥の子餅は『源氏物語』に出てくるのか!
和菓子の歴史は深いんだなあ…
読まねば!



◯『「知らないようだから教えてやるがな。おはぎは名前で七変化するんだ」
「七変化、ですか」
「そうだ。まずは一般的なところで春ならぼた餅、秋ならおはぎと名前が変わる。これは牡丹と萩からきてるんだが、この二つはまったく同じものだ。」

〜中略〜

「月。まさにそれが別名の一つだ。搗(つ)かずに作るから、つきしらず。それに月を当てはめれば『月知らず』で、さらに月が見えない方角だってことで『北窓』と呼ばれる。
 つきに到着の着を当てはめれば『着き知らず』。ひいてはいつ着いたかわからないから、『夜舟』。さらにさらに、搗いてる音がしないから隣にもばれないってんで『隣知らず』。どうだ。名前の七変化だろう?」』
(本文より)


えーっ!
ほんとに名前の七変化じゃん!とびっくりした
これって ほんと?
ぼたもちとおはぎのくだりは知ってたけれど では 高級和菓子店に行って『夜舟』を二つって言ったら通じるんだろうか?おしゃれすぎるんだけど!
なんか 奥深くて面白いなと思った

あと ほんとにあるのかなって思ったのが『辻占』っていうお菓子
気になる 気になる

自分ごとだけど 今年は初詣で人生初の「凶」が出た
びっくりしたんだけど
辻占(つじうら)の占いもやってみたーい


あと この本読んで和菓子食べたくならない人はいないでしょ!って思った
私が 和菓子屋を経営するなら この本はレジ近くに面出しで立てておくね
あと 表紙と同じ薯蕷饅頭のレプリカも添えて

私は運動不足解消も兼ね まずまず歩くだけの距離がある和菓子屋に読書の途中で行ったのだ
『柚』という饅頭を購入
柚を思わせる色味とヘタを付けた様相が可愛らしい姿
餡は柚子の風味をしっかり含み 甘すぎず いくつでも食べたい上品な味だった
久しぶりに抹茶もたてた

続刊を読む時も 私はきっと和菓子を買うだろう
続刊が読みたいのか 和菓子が食べたいのか 動機が曖昧ではあるが また『◯◯のアン』を読む日が楽しみだ


追記:あとがきで著者の坂木さんが『個人的に好きなのは『二人静』とブラックコーヒーの組み合わせ。』とある。
これはネットで検索済み!
私好みだ!
こちらもぜひ味わいたい



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月29日
読了日 : 2024年1月29日
本棚登録日 : 2024年1月29日

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