自由な? 民主的な? 開かれた? 封建的でない? 人権のある? 平和な? 世界を願っての寓話と感じた。描かれるのはその反対の世界。ジョージ・オーウェルの「1984年」的かも。
領主のもとに村に誇りをもつ昔からの住民と流れ者、気が付くと新聞も書物も教育も上からの検閲をとおったものだけになっている。それを少し不自由だとは思いつつ日々を生きるにはしょうがないとする村人。気が付くと子供は戦争にとられ・・
ある町、そこでは「羽虫」と呼ばれる蔑まれる流れ者たち、伯爵と呼ばれるその地域の権力者、普通の?村人で成っている。羽虫の母と普通の村民の父のもとに生まれたトゥーレ、流れ着いた褐色のマリ、羽虫の煙草屋、謎の魔術師、これらの人生を語りながら、人として尊厳のある世界を願う。前作「天上の葦」で太平洋戦争に至る統制社会の恐さを描いたが、これはそれを寓話に昇華した作品と言える。太田氏の直接的な主張の言葉が架空の町の物語に載せられている。
「カドブンノベルズ」2020.2月号~2020.9月号連載
2020.10.30初版 図書館
別冊文藝春秋インタビュー 2021.1.27
https://books.bunshun.jp/articles/-/6012
「世界と個人」というテーマは自分の核として持ち続けていくんだろうと思います。
連載開始にあたってのインタビュー
好書好日 2020.1.11
https://book.asahi.com/article/13014622
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
本・小説・エッセイ 日本
- 感想投稿日 : 2023年9月29日
- 読了日 : 2023年9月29日
- 本棚登録日 : 2023年9月29日
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