「第三次世界大戦は始まっている」(2022.6)で家族類型からくる政治体制、という著者の考えを知り、手に取ってみた。類型をメモ。
メモ
7つの家族類型
①共同体型:外婚制共同体家族
・相続上の規則によって兄弟間の平等が定義されている。・結婚している息子たちと両親の同居 ・しかしふたりの兄弟の子供同士の結婚はない
○ロシア、ユーゴスラヴィア、スロバキア、ブルガリア、ハンガリー、フィンランド、アルバニア、イタリア中部、中国、ベトナム、インド北部
・・この型のところで共産主義国家ができた。
②権威主義型
・相続上の規則によって兄弟間の不平等が定義されている。財産の全てを子供たちのうちの一人に相続。 ・結婚し相続する子供と両親の同居。 ・ふたりの兄弟の子供同士の結婚は僅少、もしくは無。
○ドイツ、オーストリア、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー、ボヘミア、スコットランド、アイルランド、フランスの周辺地域、スペイン北部、ポルトガル北部、日本、韓国・朝鮮、ユダヤ、ジプシー
③二つの個人主義
「平等主義核家族」・相続上の規則によって兄弟間の不平等が定義されている。・結婚した子供たちと両親の同居は無し。 ・ふたりの兄弟の子供同士の結婚は無し。
○フランス北部、イタリアの北部と南部、スペインの中部と南部、ポルトガル中部、ギリシャ、ルーマニア、ポーランド、ラテンアメリカ、エチオピア
「絶対核家族」・明確な相続上の規則がない。遺言による相続が多い。・結婚した子供たちと両親の同居は無し。・ふたりの兄弟の子供同士の結婚は無し。
○アングロ・サクソンの世界、オランダ、デンマーク
④内婚制型
・相続上の規則によって兄弟間の平等が定義されている。・結婚している息子たちと両親の同居。・ふたりの兄弟の子供同士の結婚が頻繁。
○アラブ世界、トルコ、イラン、アフガニスタン、パキスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、ウズペキスタン、タジキスタン
⑤非対称型:非対称型共同体家族
・相続上の規則によって兄弟間の平等が定義されている。・結婚している息子たちと両親の同居。・ふたりの兄弟の子供同士の結婚を禁止、逆に異性の兄弟姉妹の子供同士の結婚を奨励。
○インド南部
⑥アノミー型
・兄弟間の平等は不確定ー相続上の平等規則は理論的なもので、実際は柔軟。・結婚している息子たちと両親の同居は理論上拒否されているが、実際上は受け入れられている。・血縁結婚は可能であり、しばしば頻繁に行われる
○ビルマ、カンボジア、ラオス、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、マダガスカル、南アメリカのインディオ文化
⑦アフリカ型
・家族グループの不安定さ。・複数婚
「世界の幼少期」
家族類型に関する4つのキーワード
・母系制:女性の親族を特権化し、女性による財産の継承、子供の出産における母親の役割を重視する家族システム
・父系制:男性の親族を特権化し、男性による財産の継承、子供の出産における男親の役割を重視する家族システム
・双系制:男性と女性の親族に同等の重要性を認め、男性と女性のどちらでも相続することができ、子供の出産において、父親と母親に同等の役割を認める家族システム。
・縦型:両親と成人した子供たちの強い相互依存を強制する家族システム。両親、子供たち、孫たちと少なくとも3世代を伴う「縦型」世帯が存在する形で、伝統的な農民社会のなかに出現する家族システム。可能な同義語は「権威主義家族」
巻末のカラーの家族類型地図だけをみるだけでも・・
巻末に訳者解説
「世界の多様性」1999刊行(「第三惑星」(1983)と「世界の幼少期」(1984)を合冊した。
○「第三惑星」は、太陽系の第三惑星である地球上の家族構造の類型の全体を視野に入れ、それぞれの地域の政治的イデオロギーの特徴を分析した。
○「世界の幼年期」は、地球規模の展開を視野に据えながら世界各地域の経済的成長の進展の固有性と多様性を分析した。
2008.9.30初版第1刷 図書館
- 感想投稿日 : 2022年10月2日
- 読了日 : 2022年10月2日
- 本棚登録日 : 2022年10月2日
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