照月堂シリーズ堂々の完結編。
最終巻の題名は全ての始まりだった「最中の月」かな、と予測していたけれど見事に外れた。「なるほど、こういう趣向ね」と納得できる、完結編に相応しい名づけだった。
なつめと兄の再会がなり、火事の真相も明らかになったけど、予測通り「不幸な行き違い」だった。肩透かしを食らったような、物足りない気分になる人もいるだろうけど、そこはこういう話なのでと納得していただくしかない。
なつめの「一人前の菓子職人になりたい」という夢が実現しないままの幕切れではある。それでも「体にも心にも優しいお菓子を作りたい」とはっきりビジョンを掴んでいる、成長したなつめに安心して読了できる。「あれになりたいこれになりたい病」であった一巻からよくここまで、と知らず微笑む終わり方だ。
後書きに「機会があれば」とあったので、またなつめたちに会える日を期待している。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
時代小説
- 感想投稿日 : 2021年7月17日
- 読了日 : 2021年7月15日
- 本棚登録日 : 2021年7月15日
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