Tengu: 長編推理小説 (祥伝社文庫 し 8-4)

著者 :
  • 祥伝社 (2008年3月12日発売)
3.37
  • (33)
  • (110)
  • (144)
  • (37)
  • (8)
本棚登録 : 791
感想 : 122
1

50年代生まれの男特有の根拠のない女にモテる謎の自信が行間から滲み出し続ける加齢臭ムンムンの文体
それに米国陰謀論と人類生物学の神秘とが闇鍋されたトンデモ作品

過去・現代とを行き来する作風
20数年の時を経て新たに気付く当時の事件の真実の数々
そして過去回想で次第に全貌が見えてくる事件の規模

この行ったり来たりの構成に作者の文体が合っていなかった

ある程度何が起こったかを事前に読者が予見させられた状態で、その問題の場面が後から描写される流れなのだが、

『そんなに大変な思いしたんなら、
序盤のそんな仄めかし程度じゃ済まんやろ』

まさにこれ。
前半に仄めかしておいて、後からその場面を回収することで整合性が取れるよね、
という構成が成り立っているかどうかにばかり気を取られて、
肝心の道平の心情が弱く感じた

その結果、物語全体の奥行きや展開も何だか予定調和にしか思えず、
『何が起きるか知っているのに面白い』なんてことがこの作品を読んでて起こらない

この行ったり来たりの構成を採用するに当たって
この作者の文章や表現描写は力不足

だいたい何だよ
マムシだのジープだの、登場人物らの通り名は
しかも一回くらいしか出てこないからノイズでしかない

加齢臭ムンムンの文体だった
もうそれが一番の感想だった

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月16日
読了日 : 2023年11月15日
本棚登録日 : 2023年11月15日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする