スイス時計の謎 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2006年5月16日発売)
3.54
  • (110)
  • (260)
  • (458)
  • (15)
  • (4)
本棚登録 : 2515
感想 : 185
5

何度目かの再読。
うっすら記憶のある中読んだ。概ね忘れてたけど。
4作の短編・中編集。
あとがきで作者の言う通り本格ミステリ揃い踏み。
どの話も面白かった。
ダイイングメッセージの「あるYの悲劇」、死体の首が消える「女彫刻家の首」、倒叙ものの「シャイロックの密室」、そしてゴリゴリのロジックで攻めてくる表題作。
特に好きなのは次の2作。
「あるYの悲劇」は途中でダイイングメッセージの意味は分かるんだけど、被害者の口走った言葉がわからず、終盤にアリスと一緒にびっくりすること請け合い。そしてそこかしこに伏線のような、話の要素が散りばめられてて面白い。

そして表題作。
1つずつ疑う要素を消して言って、最後に残ったのが犯人、的な。考えたら辿り着けるかもと思ったけど、3回くらい犯人当て部分読み返してやっと理解した。

ミステリーの中でも超合理的な犯人でないと追い詰められないロジック。
だからこその舞台設定、そしてそこに付け加えられたアリスの過去話。不条理な出来事から逃避するために、合理的なロジックの世界で繭を作ったアリス少年。20年近く経ってもまだ傷が癒えないアリス。この話は、表は超合理的にロジックで犯人を攻め立てる火村の話で、裏は容疑者達と再会して不条理な出来事を未だ消化してないアリスの話のように感じた。
最後、ちょっと救われて良かった。
そして美少女騒動はきっと後ほど火村に問い詰められたのだと思う(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2022年3月14日
読了日 : 2022年3月10日
本棚登録日 : 2022年3月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする