『マジックミラー』
2024年1月10日読了
滋賀県湖北にある余呉湖が舞台の小説。
滋賀県といえど北陸の気候に近く、
そのどんよりとした気候が本書の結末をイメージさせるようだ。
読み終わって「贅沢な一冊」だったと改めて思う。
第一の事件では時刻表を用いた本格的なアリバイトリック、
第二の事件でも読者の裏を突く本作ならではのアリバイトリックが登場する。
緻密すぎるほど綿密に作り込まれた2つのトリック。
これだけでも十二分すぎるのだが、途中に挟み込まれるアリバイトリック講義も
本書の重要な伏線となるだけでなく、それだけでも読み応え抜群で大変興味深い。
なお、あとがきにタネごとの作品例も挙げてくださっている。
有栖川先生が直に列挙する推理小説の数々、ぜひ一度は読んでおかねば…。
冒頭でも述べた通り、やんわりと重たさの残るラストだった。
登場人物たちが絶妙にすれ違っていくのが、なんとも悲しい。
あちらからは見えないのに、こちらからは見える
一方向的な彼らの思いもまた「マジックミラー」といえるのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年1月15日
- 読了日 : 2024年1月10日
- 本棚登録日 : 2024年1月10日
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