人間失格のみの文庫を探して、集英社のスタンダードを選択。
これは、もはや硬派のエルか⁉︎小畑健先生、もっと思い切って「デスノート」2巻のエルの椅子に足をあげているバージョンで書いてで描いていきたかった。
人間失格は、雑誌「展望」昭和23年6月から8月
連載。連載中に入水自殺。第3回は、死後掲載された。単行本が、筑摩書房初のベストセラーとなる。
当時は、自殺そのものから、本人の遺書であると言われること。また、「道化の華」の大庭葉蔵の再登場、「HUMAN LOST」のパピナール中毒の再考から文学的遺書であるとも言われていた。
同時期に朝日で「グッドバイ」が連載中だった。
「人間失格」は、
まず、“はしがき”で、作家である“私”が、これから語られる男の3枚の写真を見るところから始まります。そして、3枚の写真の時代にそった「手記」が始まります。
第一の手記で 幼児期を。演技で道化を続け、家族に認められようとしていた子供。媚びた薄気味の悪い笑顔の写真が残される。
第二の手記で、中学、上京しての高校、中退。 心中事件。美貌であるが生気のない写真の時代を。
第三の手記で、結婚して、漫画家となるも、妻の事件の後、薬物中毒となり入院。脳病院へ入れられる。生気のない表情のない写真が残される。
そして、あとがきで、再び作家である私が登場して、その手記を預かることになる。
そんな三部構成となっています。
様々な女性に惚れられて破滅していきながら、芸術家として失敗し、人間になることには、失格した男の物語。
太宰治は、神は罪を与えるものとして、神さえ恐れ、脳病院への入院で罪人以上の廃人、社会的な死と認識していたようだ。
太宰が自分で思っている自分がこの主人公で、それを小説家としての自分が俯瞰していると思うのだけれど、現実と創作の部分が混然しすぎて、
小説の為に身を崩しているのかなんだかわからないです。
今回は、考えすぎて、混乱してしまいましたので、またどこかで再読します。
巻末に太宰治の娘さんの人間失格の“鑑賞”が掲載されています。実際に見た写真のこと、太宰治の好物の話、人間失格に感じる父性。これを読んでしまうと、誰の解説よりも納得してしまいます。
- 感想投稿日 : 2023年12月12日
- 読了日 : 2023年12月14日
- 本棚登録日 : 2023年12月9日
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