あとがきで川村湊さんが、
岩井出身の“みちのく”作家。
心の中の “みちのく”の情景を描く。
と、上手こと表現している。
直木賞の人生の曖昧となった記憶を物語とした
7編の記憶シリーズ。舞台も東北が多い。
どの短編も、記憶から欠けた時間を探し始めるところから始まる。そこに記憶を封じなければならなかった事情を思い出していくという構成。
各作品、設定も展開も工夫されて、とても素敵な短編集です。
「緋い記憶」
故郷での緋色の記憶。そこに残る少女との思い出。なぜか、住宅地図には、その家の記録がない。
「ねじれた記憶」
男は母との記憶が残る寂れた温泉宿へ。そこは、母親の自殺した場所。母親とよく似た女性との出会い。自殺前の時間がねじれた記憶。
「言えない記憶」
子供時代の不確かな記憶と鮮明な記憶。
缶蹴りの途中で行方不明のまま亡くなった少女の本当の死因。
「遠い記憶」
忘れていた幼児期の記憶。家だと思っていたのは、父親の愛人の家。忘れてていたのは、鴨居にぶら下がる愛人とそれを見る母親。
「膚の記憶」
食中毒かアレルギーに苦しむ男。
原因を探すうち天然水と思い至る。母親の故郷の水。水源地に沈んでいたものは。
「霧の記憶」
若い日のロンドンでの曖昧となった記憶。小説家となった男の古い作品から、当時行方不明になった女性の痕跡を探す。
「冥い記憶」
一人の少女の死を思い出させるための青森ツアー。
これは、短編だとわかりにくい。結末がよくわからなかった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
直木賞
- 感想投稿日 : 2024年1月31日
- 読了日 : 2024年1月31日
- 本棚登録日 : 2024年1月31日
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コメント 7件
土瓶さんのコメント
2024/01/31
おびのりさんのコメント
2024/01/31
みんみんさんのコメント
2024/01/31
かなさんのコメント
2024/02/01
おびのりさんのコメント
2024/02/01
おびのりさんのコメント
2024/02/01
土瓶さんのコメント
2024/02/01