春狂い (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2015年4月10日発売)
3.49
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本棚登録 : 503
感想 : 44
3

狂気を孕む美しさは、猟奇を催す。
17歳の少女は、その美貌から、幼児期より男たちの欲望に穢され続けた。美少女を取り巻く狂気のサークルは、家庭から教室、学校へ。エネルギーを蓄えながら伝染していく。
坂口安吾「桜の森の満開の下」を読んだことも忘れていたのに、狂気と桜のキーワードで、思い出した。桜の満開の下を通ると気が狂う。そう信じている山賊。美しい旅の女を襲い妻にする。その美しい女がなかなか恐ろしく、最後は桜の満開の下で散っていくという短編。
美少女に狂っていく男達と、彼らの狂気に身を滅ぼしていく少女。その連鎖は幾つかの殺人にも至る。
各章の展開のつながりが面白い。最終章での少女の憑依が、彼女への救済なのか、残された者への残像なのか、掴みきれなかった。
久しぶりの、グロチック。
さてさてさん、ありがとうございました。


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 
感想投稿日 : 2022年12月12日
読了日 : 2022年12月12日
本棚登録日 : 2022年12月12日

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コメント 5件

さてさてさんのコメント
2022/12/12

おびのりさんも「春狂い」お読みになられたんですね。おおお、すごいです。
この狂気の連鎖がたまらない作品ですよね。お書きになられている通り各章の展開のさせ方も上手いと思いますし、とてもよくできた作品だと改めて思います。
こちらこそ、ありがとうございます。

おびのりさんのコメント
2022/12/12

こんばんは。コメントありとうございます。
発見しました。エログロもいけます。
さてさてさん、今、村田沙耶香さん読んでますよね。私、今一番気になる作家さんかもしれません。なかなか図書館の順番こないので、続けて読めないのですが。
また、本棚お邪魔します。

さてさてさんのコメント
2022/12/12

おびのりさん、村田沙耶香さんの世界もすごくいいです!もっと早く読めば良かったというところです。芥川賞作家さんは結構合う合わないが大きいと思っているのですが、村田沙耶香さんはかなりど真ん中にきています。今回三冊読みましたが、早く次の三冊を読みたいなと。
とってもオススメです。

おびのりさんのコメント
2022/12/12

そうですよね!
私は、古い方から6冊読んで、あとは予約待ちです。
久しぶりに、全作読みたい作家さんです。
昔でいえば、安部公房を読んだ時に感覚が似ています。
まさか、優しめ(予測)さてさてさんと、同調できる日が来るとは!

さてさてさんのコメント
2022/12/12

“優しめ(予測)”、なるほど、我ながら納得です(笑)。でも、湊かなえさんとか、金原ひとみさんとかも読んでますし!と反論してみたり(笑)。いずれにしても女性作家さんの作品全部読むと公言しているので、後に優しくない作品ばかり残るのは辛いので、できるだけ幅を持たせていきたいと思っています。
よろしくお願いいたします。

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