「東京バンドワゴン」シリーズの番外編。
サチさんの娘時代のお話です。
五条辻咲智子は、子爵の父親から木箱に入ったある重要文書を渡され、静岡の伯母の家へ持って行くよう頼まれる。
〈箱〉を狙われ、アメリカ兵に連れて行かれそうになる咲智子を助けたのは、堀田勘一だった。
命の危険から身を守るために、咲智子は勘一の結婚相手堀田サチとして、堀田家に世話になることになる。
勘一の父親も母親も温かく、堀田家に寝泊まりする混血の若者や元軍人や戦災孤児など、終戦直後の東京ではそれぞれみんなが何かを抱えて生きているけれど、堀田家に悲しい顔は似合わない。
堀田家の家訓に従って事が運ばれていきます。
ジャズバンド〈TOKYO BANDWAGON〉も登場し、粋な流れになっていきます。
この物語を読んで、勘一とサチの素敵な馴れ初めを知ることができ、堀田家をますます好きになりそうです。
そして、サチを重い荷物から解放し、命がけで守ってくれたあの頃の仲間たちがいたからこそ、いつも家族を温かく見守るサチおばあちゃんの存在があるのですね。
あの昭和20年の夏に見た、まるで台風の過ぎ去った後のような空の色、紺、藍、青は、のちに生まれるサチさんの孫たちの名前になっているようです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小路幸也
- 感想投稿日 : 2022年9月19日
- 読了日 : 2022年9月19日
- 本棚登録日 : 2022年9月19日
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