泥棒を生業とする黒澤。
父に自殺され、新興宗教の信者になる、画家志望の河原崎。
不倫相手と協力して、お互いの配偶者を殺害しようとしている、精神カウンセラーの京子。
リストラされ、家族を失い、四十社連続不採用中の豊田。
何の関係もないと思われる4つの物語が並行して進んでいく。
仙台駅前には、新しくできたコーヒーのチェーン店や展望台があって、首輪のない柴犬やプラカードを持った白人女性がいて、それらが人々の繋がりを暗示しているようだ。
この先どうなるんだろうと思われるような、悲観的な状況が続いていくけれど、パズルのピースの欠けた部分がみごとに埋められて、面白さがどんどん加速して、ものすごく手の込んだ仕掛けに圧倒されてしまった。
所々にはさまれている音楽もシャレているし、「人生については誰もがアマチュアなんだよ」なんていう黒澤のセリフも、豊田の書いた『イッツオールライト』も、何もかもが愉快で、最高な結末。
他の作品と少しずつリンクしているところなど、まだまだ知らないことが多いので、伊坂作品もっと読んでみたいです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
伊坂幸太郎
- 感想投稿日 : 2023年5月2日
- 読了日 : 2023年5月2日
- 本棚登録日 : 2023年5月2日
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