『大草原の小さな家』シリーズといえばいいのか『インガルス一家の物語』といえばいいのか(岩波少年文庫の後半は『ローラ物語』とされている)とにかく福音館の5冊、岩波の4冊続くシリーズの最終巻。
これで終わりかと思うと(あと一冊、ローラの日記を娘ローズがまとめた『わが家への道』があるけど)、なかなか手が出せませんでした。
といってもこの『はじめの四年間』はローラもローズも亡くなってから残された原稿を出版したもの。あとがきによると、初期のころに書かれたもので草稿というか覚書に近いといった感じです。
ローラとアルマンゾ(「マンリー」ってテレビドラマでも呼んでましたね。)の新婚時代なわけですが、旱魃が続いて収穫は見込めず、借金ばかりが増えたり、生まれたばかりの男の子が亡くなったり、苦しいことの多い四年間。
ローラが「農夫とは結婚したくない」と考えていたり、「農場も家畜も嫌いだった」と言っているのは意外。あとから書き直された他の作品ではもっと前向きに農業をとらえているように感じられるのでここらへん初期の本音なのかなと思います。
「これでもう物語がおわりだとしても、わたしたちは自分の人生をローラがしたように価値のある豊かなものにしていこうではありませんか。」
「引き出しの下には、床まで空いた場所があり、そこに陶製のクッキー入れと、ドーナツ入れと、ラード入れがおいてある。」
「洗濯とアイロンかけは、小柄で細いローラにとってはきつい仕事だった。」
「その夜、夕食のあとで、ローラはモンゴメリー・ウォードの通信販売のカタログを見て、鞍の絵と説明をじっくり読み、ひとつ選んだ。今度町へ行ったら、さっそく注文書を送るつもりだった。その鞍がくるのが待ちどおしくてたまらない。でも、ローラはトリクシーと仲良しになって、じりじり待つはずの二週間を少しでも短く感じられるようにした。」
「今の子どもたちに、ものごとのはじまりとは何かをもっと知ってほしい……目に見えるものの裏にかくれているものを知ってもらいたい……今のアメリカをつくったのは何かを知ってもらいたい」
「どんなに長い人生も、短いものだ。しかし、私たちの作品は、さらに長く生きつづける」
- 感想投稿日 : 2019年7月31日
- 読了日 : 2019年7月28日
- 本棚登録日 : 2019年7月28日
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