江國香織作品の姉妹は仲がいい。
「麻ちゃん」「育ちゃん」と呼びあう感覚は同じ姉妹でもうちにはないものだけど、離婚した両親やそれぞれ家を出て暮らしている姉妹でも、同じ記憶を共有していることでいつまでたっても「家族」だというのはなんとなくわかる。
江國香織作品の恋人や夫婦たちはするすると不倫したり浮気してしまい、それを非難する方が野暮に感じてしまうのだけど、今回はそんな奔放な生き方が「のびやかすぎる」と少し自嘲ぎみに語られている。
そして江國香織作品には旦那への依存度が強い女性がしばしば登場するが今回の麻子はDVがからむので作品全体が少し重い。
「邦一のために一つずつ品物を選んでいると、自分が守られているように思える。
麻子は、こうして買物をしている自分が幸福な女に見えることを自覚してしていた。その自覚が麻子を満足させ、幸福にさせる。」
「そばにいるときよりも離れているときに、結婚はその効果を発揮するのだ。」
「記憶は冷凍された食品のようなものだ、と麻子は思う。古いことは古いが、時が経っても現にここにある。腐ることも、成長することもない。」
「家族に愛されると、人は強くなるのね」
「家族は個人的聖域であり、呪縛だ、と、考える。」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年5月8日
- 読了日 : 2019年5月8日
- 本棚登録日 : 2019年5月8日
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