長年出版業界でご活躍されていた著者が一線を退いたのち、一般の一利用者として公共図書館を利用しながら感じられたことや考えられたことを綴った1冊です。
世間では現代の公共図書館を否定的な意味合いで「公立無料貸本屋」という言い方をすることがあります。
しかし、著者が投げかけるのは「なぜ図書館は無料貸本屋であってはならないのか」という問いなのです。
著者は、編集や翻訳などに携わられていた現役時代に、国会図書館を調査に利用することはあったようです。
ですが、娯楽のための読書を目的に公共図書館を利用するようになったのは引退されてからとのこと。
そのため、現代の図書館事情には疎いようです。
本書は一利用者(もちろん出版会の事情には通じていらっしゃいますが…)の視点で書かれており、それは私にとっては新鮮な視点でした。
興味深く読みましたが、「読書のための図書館」という路線に偏っていることが、図書館関係者としてはやや引っかかりました。
読書のために本を借りるのも1つの利用の形ですが、公共図書館は地域の人々にとって、興味を持ったことや生活に必要な情報を調べることができる身近な施設でもあるのです。
出版界に通じており、なおかつ情報を入手するスキルを持った著者だからこその「図書館は無料貸本屋でもいいじゃないか」という主張なのかなぁとも思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
おしごとのため。
- 感想投稿日 : 2013年7月3日
- 読了日 : 2013年7月2日
- 本棚登録日 : 2013年7月3日
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