遠間憲太郎、50歳、営業マン、離婚し、社会人となる娘と暮らす。
これまでの人生を後悔するわけでもないけれど満足せず、また今後の人生をどのように生きるべきか、自分が何を成して人生を終えるべきか、思い悩む。
同い年の親友・富樫は自営業の社長。
遠間と富樫は様々な人間トラブルと遭遇し、また貴志子という女性に出逢い憧れ、娘の弥生を通じて母親に虐待されて育った五歳の圭輔と出逢う。
宮本輝は、本書執筆前、日本という国に対し憎悪を抱いていたとあとがきに書いており、その気持ちを遠間と富樫に代弁させているのだと思う。
そして堕落した日本や日本人を再生させるには、とこれまた遠間、富樫、貴志子に考えさせている。
彼らの今後がその再生への道で、本書はそこまでで終了。
いろんな人間がいるなぁ、幼稚な日本人が増えてしまったのだなぁ、というのが感想。
遠間と富樫のあらゆることに関するやり取りはまともなのだけど、正直、二人の頭の中を整理するのを手伝っているみたいでしんどい(笑)。
あとがきを読んで納得しましたが。
本書の前に「樅の木は残った」と「漆の実のみのる国」で命がけの自己犠牲の人々の物語を読んだせいか、どうも本書自体が軟弱に感じられて仕方なかったな。
登場人物に語らせるのではなく、もっと読者に考えさせてくれても良かったか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
宮本輝
- 感想投稿日 : 2013年6月28日
- 読了日 : 2013年6月28日
- 本棚登録日 : 2013年6月28日
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