ビザンツ帝国-千年の興亡と皇帝たち (中公新書 2595)

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  • 中央公論新社 (2020年6月22日発売)
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6世紀から11世紀のビザンツ帝国を中心に据えて書かれた一冊。イコンの破壊がどこまですすめられたのかは藪の中。/ビザンツ千年の歴史に「皇帝教皇主義」というレッテルを貼るのはかなり乱暴。教会をめぐる手続きで、皇帝と総主教の対立は絶えず/プロノイアは、ミカエル八世時に世襲化が進展。パライオロゴス朝をビザンツ「帝国」に含めない本書の考え方は、プロノイア制の拡大した後期ビザンツは、中央集権を旨とする君主専制の「帝国」とは呼べないというもの/というあたりが特徴か/特に興味をいだいた皇帝・高官は3人。/コンスタンス二世期、首都を離れて出征する皇帝と、首都で留守を守る政府要人は、必ずしも意向が同一ではなかった/文人コンスタンティノス七世。歴史にかかわる書物を国内からすべて探し出し分類・編纂「コンスタンティノス抜粋」。/最末期に活躍したトレビゾンド生まれのヨハネス・ベッサリオン。/もっと詳しく知りたい方はJ・ヘリン「ビザンツ 驚くべき中世帝国」を、と。以下の論文・書籍は手にとってみたく思った。/キャサリン・ホームズ「変容するビザンツ?グローバル・ヒストリーの時代におけるビザンツ研究の新潮流(600-1500)」(「思想」1118)。小林功「生まれくる文明と対峙すること:7世紀地中海世界の新たな歴史像」。中谷功司「皇帝ユスティニアノス2世の流転 紀元700年のビザンツ北方世界」。

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感想投稿日 : 2021年9月10日
読了日 : 2021年9月4日
本棚登録日 : 2020年6月1日

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