フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (2009年3月10日発売)
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書店主フィクリーのものがたり、阿久津隆「読書の日記 本づくり スープとパン 重力の虹」つながり (1)善人はなかなかいない:クルマで旅行中の一家が祖母の粗忽な思いつきに起因する事故にあい逃亡犯に一人一人射殺される(2)生きのこるために:片腕が半分しかない男が強欲そうな老婆の信用を得て耳の聞こえない娘と車で新婚旅行に出て、その先で娘を置き去りにする(3)田舎の善人:田舎町で義足で博士号まで取った娘が田舎の善良な青年とみた聖書売りを誘惑しようとするも、義足を持ち去られ(4)強制追放者:農園を切り盛りする女主人が、ユダヤ人迫害から逃れてきた家族を受け入れたが、いままでの白人男性、黒人男性の密かな反感を得て、事故に見せかけて家族の長が轢き殺され。あたりが印象に残った作品。後味の悪さ、むき出しのものも、密かに抱かれて爆発するように現れる悪意も、読み終えると重いしこりが残る感。著者の意図としては成功なんだろうと思いつつのモヤモヤ感。/「善人はなかなかいないもんだ。なにもかも悪くなる一方ですね。昔は網戸に錠をかけずに出かけたもんだが。もうそんなことはできっこないさね」/「死人をよみがえらせたのはイエス・キリストだけだよな。そんなことはしないほうがよかった。イエスはあらゆるものの釣り合いを取っぱらったんだ」/「人生には、ほんとの楽しみなんかあるものか。」(「善人はなかなかいない」)/「奥さん、人間は二つのものでできている。肉体と精神だ」(「生きのこるために」)/「なんだって完全なものなどありません。」「田舎の善人は地の塩です!それに、人間のやりかたは人それぞれなのよ。いろんな人がいて、それで世の中が動いてゆくんです、それが人生というものなのよ!」/「あんた、あんまり利口じゃないな。おれなんぞ、生まれて以来、なんにも信じたことはないよ。」(「田舎の善人」)/

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月27日
読了日 : 2022年2月21日
本棚登録日 : 2022年2月15日

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