くまちゃん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2011年10月28日発売)
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本棚登録 : 2712
感想 : 245
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アラサー男女の「振られリレー」オムニバス短編集。
前の話でふった人が、次の話ではふられる。この繰り返し。恋愛は好きになった方の負け!という意味がよく分かる小説でありました。

その話の主人公は皆、振られる側なので、振られる人の目線で話は進む。
だから振る方に対して、掴みどころがなくて冷たい男だなー、勝手な女だなーと思うんだけれど、その人たち全員、次の話では振られる側になる。
目線が変わるとその人の印象が変わるから面白かった。

別れを告げたのは自分なのに、私が振られたんだ、と感じる登場人物の心理描写が好きでした。作者の後書きも良かった。

30歳過ぎて、10代20代の頃より読書がますます面白いのは、
登場人物と同じ年齢になって、共感したり、そうでなくてもなんとなく気持ちを重ねて読むことができるからかなあと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月1日
読了日 : 2020年8月1日
本棚登録日 : 2020年7月29日

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