日本沈没 第二部

  • 小学館 (2006年7月7日発売)
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本棚登録 : 209
感想 : 31
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大ベストセラーとなった、カッパノベルスの「日本沈没」上・下巻は、あまりにも有名ですが、第二部が出ていることを知っている人は少ないのではないでしょうか。
実は、最初の「日本沈没」が完成した時から、作者の小松左京氏は、第二部を書く構想を表明しています。

というよりも、「日本沈没」という物語の着想点は、第二部にあったと言ってもいいのです。
小松氏は言っています、「日本列島という母親に抱かれ育った日本人が、そのよりどころを失い、世界という場で存在するしかなくなったとき、日本民族はどうなるのか、それを書くのが目的だった。」と。

日本民族を世界へ漂流させるためには、どうしても日本列島を消滅させるしかなかった、というのが、実は「日本沈没」の構想だったんですね。
(スケールの大きさには驚いちゃいますが)

私も長年、この第二部を待っていたんですが、小松氏の多忙と、阪神震災後の鬱病によって、実現されずにいたものが、やっと完成しました。
しかしながら、もう古希を越える歳となった小松氏が一人で執筆するのは困難で、谷甲州氏がその執筆に当たりました。
(実際には、執筆プロジェクトが組まれており、何人かの関係者の協力によって出来あがっています。)

作品のできはともかく、この「日本沈没 第二部」には、とても感慨深いものがあります。
流浪の日本民族が再び国家を形成する道のりの展望は、当初から小松氏の頭の中にあったものなのでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2008年5月10日
読了日 : 2008年5月10日
本棚登録日 : 2008年5月10日

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