春昼・春昼後刻 (岩波文庫 緑 27-5)

著者 :
  • 岩波書店 (1987年4月16日発売)
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本棚登録 : 665
感想 : 83
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この人の作品は、どうしても「美しい」と形容したくなる。

でもここで言う「美しい」は、僕が現代の言葉で美しいというときの、純粋で華やかな視覚美という程度の意味合いとは全く違う。泉鏡花の「美しい」は、もっと生々しく具体的な、存在美とでも言うのだろうか。作品世界の中での相対性が調えられて、同じ色一つ、形一つ、動き一つが全く違う、絶対的な鮮やかさを備えている。これぞまさに、正当な芸術性だと思う。すっかりこの「存在美」に魅せられてしまって次々作品を読むことになりそうだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年8月16日
読了日 : 2012年8月10日
本棚登録日 : 2012年8月11日

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