この人の作品は、どうしても「美しい」と形容したくなる。
でもここで言う「美しい」は、僕が現代の言葉で美しいというときの、純粋で華やかな視覚美という程度の意味合いとは全く違う。泉鏡花の「美しい」は、もっと生々しく具体的な、存在美とでも言うのだろうか。作品世界の中での相対性が調えられて、同じ色一つ、形一つ、動き一つが全く違う、絶対的な鮮やかさを備えている。これぞまさに、正当な芸術性だと思う。すっかりこの「存在美」に魅せられてしまって次々作品を読むことになりそうだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2012年8月16日
- 読了日 : 2012年8月10日
- 本棚登録日 : 2012年8月11日
みんなの感想をみる